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140か月め_塩釜での壁画制作

2022 年 11 月 11 日 金曜日

今日は2011年3月11日から4,263日
609週
11年8ヶ月
140回めの11日です。

10月31日から11月4日まで、
宮城県塩竈市の塩釜水産物仲卸市場の北側の扉への壁画制作を行いました。


震災の津波被害の遭った場所で、長年稼働してきた仲卸市場ですが、
老朽化と世代交代のタイミングで、若手と呼ばれる人たちがこの場所の更新を担うことに。
これまで4つに別れていた運営をグループを1つにまとめ、
課題解決に向けたコミュニケーションのよりオープン化させ、
新たな試みも加えて、10月15日にリニューアルオープンさせた場所。

ボクが懇意にさせてもらっている塩釜のアートシーンの中心人物 高田彩さんが、
この春ここの南口に作家さんと地元の若者たちを結びつけた壁画制作をしていることを知り、
とても良い試みだな〜などと思っていたところ、
次年度予算で北側の入り口にボクを呼び込んでくれました。


その際にオーダーがあったのが、
ボクが過去に同じ構図で2度描いた塩釜の海、「千賀の浦」を飛ぶ鳥たちの絵、
それをこの場所に施してもらいたいとのこと。

ああ、うれしいな〜。

この絵は、ボクが2013年の5月に塩釜で見た風景です。

この年の1月、ボクは震災後の何度めかのフィールドワークで東北を巡り、
旅先で見た「マリンゲートという港の機能が一部再開」のニュースから塩釜に行ってみようと思いました。

そこにはプレハブ建ての復興市場があって、
ボクは共栄丸水産で働く水間さわ子さんと出会います。

とても溌剌としていて気持ちよくて、自分では嫌だなと思っていた
「逆に被災者に元気もらっちゃいました」みたいなことが起きてしまったのです。

そこでラブラブだというご主人を紹介され、
ボクは手持ちのシロツメクサを描いたポストカードを手渡し、
東京にもどりました。

しばらくするとさわ子さんから手紙が届きます。

そこには、保育士となった二十歳の時、不安な気持ちで通学バスに乗る際、足元に咲いたシロツメクサを見て、なんだか励まされたような気持ちになったこと。
震災の直後、何もかも流されてしまった養殖場ある海に出て呆然と空を見上げていると、呑気に飛んでるカモメ(ウミネコか?)の姿が見えて、やはりなんだか大丈夫と思えたこと。
そして、ご自身の今のことと相変わらずラブラブなご主人自慢。そんな自慢のご主人が働く海と5月に塩竈神社に咲く塩竈桜を見に来て、いつか絵にしてくれと。

ボクは彼女と会えたことで、被災ということ、復興の意味、もしくは、被災地と呼ばれる場所にひとりでも友人が出来たら、それはとても豊かなことなんじゃないかという直感を得ました。

で5月、東京から弾き飛ばされるようにして向かった塩釜。

復興市場でさわ子さんを見つけ「ご主人の仕事場を見てくるね〜!」と声かかけて、遊覧船に乗って松島湾へ。
古くは「千賀の浦」と呼ばれた場所で、ボクはかっぱえびせんに群がるウミネコを見ます。

被災と日常が千賀の浦の上で交わって感じられた瞬間。
ボクはこれを描き続ければいいのだろうと確信しました。

彼女はその絵をとても喜んでくれて、
この絵を使ってご家族で営む共栄丸だけでなく、塩竈の復興に役立てたいと考えを持ってくれました。

いくつか具体的なアイデアもあったのですが、
2018年の夏、彼女は急逝してしまいます。

家族のため、地域のためと、ものすごい笑顔と共に頑張っていたんだよね。


今回の壁画制作にあたり、
高田綾さんに共栄丸さんにご挨拶に行きたい旨を伝えたら、
一緒にゆきましょうと。

美人すぎる元気すぎる共栄丸シスターズの洗礼を受けていましたね。

コロナでしばらく来れなかった塩釜で、ボクもお互いの元気を確かめ合い、
さわ子さんが愛してくれた絵を、いわばライバルと言えるような場所に投下する旨を伝えたら、
逆に喜んでくれて快諾をいただきました。

ああ、こういうマインドなんだよね〜、今日本中で必要とされていることは。
(オリンピックの金の流れとか見ちゃうと、特に、、)

で、シスターズ、
「お父さんがアミイゴさんの影響で絵を描き始めちゃって、」なんて言って見せてくれた絵。


きゃーー!
素晴らしい。

お父さん、俺にはこんなん描けないです。

海を愛し海に生きた人だからこそ描けるリアリズム。

近年見た絵の中で一番愛しいかも。

そして、自分がやってきたことでこんな絵が生まれたことに感謝。

都会のなにやら立派な場所で輝くものでは無い、

自分のアートとは、こんな絵が生まれることなんだと、
またまた塩釜で教えられてしまったのです。


共栄丸さん、いつまでも元気で!
また塩釜で会いましょう。

仲卸市場での壁画制作は、
主に市場の閉まる13時から日のかげる16時半くらいの3時間半が勝負。


それまでは扉が開いていて、少なからずの方がここを通ります。

そんなお一人お一人が気持ち良い言葉をボクにかけてくれて、
この作業が行われることに関して、市場で働く多くの人のコンセンサスが取られている事を感じます。


ボクがここで制作することで生まれるコミュニケーションも、
こな市場を再生して行く上での重要な要素なんだと思います。


「被災地」と呼ばれる場所で生きる人の多くは、
あの日からずっと考えるのやめなかった人。
(あらゆる事情で考えることを足踏みする人のことへの想像も忘れずに、)

個人的には東京の(中央の)発想のずっと先を走っているイメージさえあります。

そんな方々が大切にされていることのほとんどは、
風通しの良いコミュニケーションの現場作りではないかと。


若いアイデアが結集され生まれた市場内のフードコートの風通しの良さは、
コンサルタントや代理店の発想では生まれ得ない気持ちよさがあります。

現状はリニューアル・ブーストがかかった状態で、多くのお客様が足を運んでいる状況かと思い、
これを維持してゆくのは大変さも想像出来てしまうのだけど、
だからこそ高田 彩さんはこのタイミングでボクを呼び込んでくれたんだよね。きっと。

いやー、この壁の前でほんと色々な人と会話をしたな〜
その1つ1つが愛しくて仕方ねえぜ、塩竈、宮城、三陸、東日本。


大切な友人も駆けつけてくれたし、ここで友人になれた人もいるし、
さわ子さんとのご家族とは「今でもその辺にさわちゃんがいるよね」と。
この壁がある限り、そして少なくとも自分が生きている限り、
これからも続いてゆくものばかりです。


塩釜を良い方に更新しようと奮闘するみなさん。


そこでアートを翼に軽やかに舞う高田 彩さん。

この場所への導きをありがとう。

綾さんが運営するアートの拠点「ビルド・フルーガス」は、
エスペラント語で「ほら、鳥が飛んでいる…」という意味だそうです。

あらためて、
2011年の春に千賀の浦でさわ子さんが見上げた空を想い、
塩釜で出会った人たちに感謝を深めた壁画制作。

この空、東京へ、日本中へ、世界へと広げてゆきたいです。

 

山陽堂書店で「いくつもの空の下で」の展覧会開催。

2022 年 10 月 17 日 月曜日

エッセー澤田康彦 × イラストレーション小池アミイゴ 展
「いくつもの空の下で」刊行記念の展覧会です。

「いくつもの空の下で」
2022|10.19(水)-10.29(土)
GALLERY SANYODO
山陽堂書店ギャラリー
東京都港区北青山3-5-22山陽堂書店2F
平日11-19時/土11-17時/日休
●表参道駅A3出口より徒歩30秒

京都新聞で連載された澤田康彦(『暮しの手帖』前編集長/京都在住)のエッセーと、それを毎日曜日彩った小池アミイゴのさし絵をすべて展示します。
春夏秋冬、二十四節気、過去現在未来、京都滋賀東京に思いを寄せる全47点に加え、新刊『いくつもの空の下で』のカバー画、サワダの秘蔵青春コレクション(!)等々をどっさり見せる意欲企画。
「作文vsさし絵」の面白さをご堪能ください。
*著者、各日午後は「わりかし」在廊予定です。(サワダ)

「いくつもの空の下で」京都新聞出版刊_1870円(税込)

コロナ禍の京都新聞で連載された”暮しの手帖”元編集長 澤田康彦さんのエッセーとボクのイラストレーションのコラボ展「いつもの空の下で」

これまで京都新聞本社、澤田さんの故郷滋賀県能登川町で開際してきたのが楽し過ぎて、「これ、やっぱ東京の人にも見てもらいたいよね〜!」ってね。

今時ただ見てもらうだけの展示を、青山通りの”山陽堂書店”2Fギャラリーで開際します。

連載時の新聞の切り抜きと原画に、澤田さんとボクとのひと言コメントを添えて、活字好きなら2時間は楽しめる内容になっております。

山陽堂ということで、この連載がフルカラーで一冊にまとめられた美しい本も販売しまが、これを澤田さんとボクとの自腹で行うのです。

それくらい澤田さんとボクにとって幸せな連載。
幸せのお裾分け展であります。

毎週毎週澤田さんから届く言葉に、画材や描き方を変えての連載セッションは、コロナの重苦しい空気をなんとかフワッと軽やかなものにしたい、そんな2人の文系男子の奮闘記でもあります。

東京並びに関東甲信越地方、東日本や知床の皆様におかれましては、秋の青山で「フフッ」と楽しんで頂けたら幸いであります。

というわけで、人様案件ばかりに携わり、全く準備が出来ていね〜〜!
であります。

助けて〜〜

アミイゴ

絵本「はるのひ」日本絵本賞受賞

2022 年 5 月 23 日 月曜日


2021年2月に発表した絵本「はるのひ」が、
2022年5月、第27回日本絵本賞を受賞しました。

父が亡くなった2018年の春の日から、3年の制作期間で生まれた1冊。

絵本はボクひとりで作れるものでは無く、この1冊は特に、編集担当のTさんの27歳から30歳までの青春の一冊と言っても良いくらい、莫大なエネルギーを注いでくださったことで、生まれたものです。

また、ブックデザインの城所 潤さん、舘林三恵さんから頂いたアイデアにより、より美しい本として、この物語を必要とされる方へ届けることができます。

さらに、たいていの印刷屋さんが顔をしかめるボクの”印刷しずらい絵”に真っ向立ち向かってくれ、発刊直後に「特にp30〜31の見開きで震え上がれ」とTwitterでつぶやいてくださった、東京印書館様のサイコーの印刷無くしてこの本は語れません。

この賞はそんなみなさんに対してのものだと考えています。


森の向こうに煙をみつけた”ことくん”が、走って煙を見にゆくだけの物語ですが、
その舞台の参考にしているのは、ボクがこれまでお世話になってきた土地です。

まず、生まれ故郷の群馬県南部、赤城山の麓の田園風景。
おばあちゃんの家の田んぼや畑で遊んだ経験と共に、1970年あたりを境に徐々に失われていった里山の美しさなんてものも、思い出しながら筆を走らせました。

そして、子どもたちとのワークショップセッションを重ねて5年目となる、福島県奥会津エリアの柳津町や昭和村の風景や光、土地の高低差の面白さ。
なにより元気な子どもたちの姿!
彼らがこの絵本を好きだと思ってくれたら、それが一番うれしい!

もしくは、やはりワークショップでお世話になっている、喜多方市で完全有機農法を実践する大江ファームの、夕日に溶けてゆく美しい畑。

夕日と言えば、東北の太平洋沿岸部で出会ってきた色彩。
この絵本は山間の物語だけど、海沿いの町で見た色彩を盛り込むことで、「どこか知らないけどステキな場所」の演出が出来たはずです。

物語の大切な装置となる森は、大分県杵築市山香町の森の中でカテリイナ古楽器研究所を営み、ものづくりと音楽と反農の暮らしを実践する松本家とのお付き合いから、体を持って覚えた喜びを絵にしています。

さらには、2016年の初夏に花の絵の展覧会を開催させてもらった、栃木県那須塩原市黒磯のSHOZO COFFEE。
展覧会を前にした2月と3月に、SHOZOに宿泊しスタッフとワークショップしたり、那須野の山を自分の足で走って感じた土地や人との距離感。

やはり展覧会を開催させてもらった熊本県津奈木町の”つなぎ美術館”
そのきっかけとなったアートプロジェクト”赤崎水曜日美術館”に関わったことで得た、土地と人との関係性。これはその対岸、天草でも経験させてもらいました。

色彩に決定的な力を与えてくれたのは、2019年の夏に3週間かけて取材旅をした台三線エリアの濃厚な風景。
それ以上に、そこに暮らす客家の皆さんから与えていただいた人情が、色に強さと優しさを与えてくれています。

ボクが当初考えた絵本のタイトルは「とーちゃん おーい」で、
主人公の名前は「ととくん」でした。

「おーい」の原風景は、カミさんの九州の実家のお父さんが、2歳の息子に向かって「おーい」と声をかけて遊んでくれていた風景。

自分は父親とそんな経験あっただろうか?と記憶を辿るも、1枚の写真に辿り着けただけだったけど、それでもなんて安心感のある風景なんだろと、自分が家族を取り戻したような気持ちで見ていました。

その後作画を担当する絵本「とうだい」でも印象的に使われていた「おーい」という言葉。
嵐の中で灯台が光と共に叫ぶ「おーい あらしにまけるな とうだいはここにいるぞ 」という声!
それに答え「トットットット」とエンジンをふかし舵を切る小さな船。

斉藤 倫さんの物語に、ボクこそ見守られていたように思います。

そして、「おーい」という言葉に向かって「とっとっとっと」と近づいてゆく子どもの風景を想像すると、逆に「おーい」という安心感に背中を押され「とっとっとっと」と駆けてゆく子どもを想像。

震災後、多くの言葉を駆使して相手の言葉に蓋をするような事がネット上で見られるも、被災地と呼ばれる場所では、そんなもの何も役に立たないでいるのを知ったボクは、子どもたちに「おーい」とただただ大らかな声をかけられる「とーちゃん」でありたいと願いました。

そう願うことで、「おーい」と大らかな声で語れる人にたくさん出会えたはずで、その声はこだまして、さらに次の大らかなる人の発見に繋がってゆきした。

そうすることで、ボクもボクの家族も生かされてきたような10年ちょっとの歳月。

残念ながらこの本が完成する前に亡くなってしまった方もいます。
しかし、大切なことはこの物語の背景に塗り込んであります。

今回頂いた賞が、そんな1人ひとりをこの物語と共に生かし続ける裏付けになってくれたらいいなと、
心より願っております。

2022年5月
小池アミイゴ

追記。
代々木あたりのみなさまへ。

「はるのひ」小さすぎる原画展
2022年5月26日(木)~6月5日(日)
at 渋谷区富ヶ谷2丁目のパン屋”ルヴァン”のカフェ”ルシャレ”
〒151-0063 東京都渋谷区富ケ谷2丁目43−13 GSハイム代々木八幡

へっぽこな自分を生かしてくれている代々木の街みなさまへ。
みなさまの支えがあってこそ作れた絵本が、なにやら立派な賞をいただきました。

つきましては、みなさまが愛してやまない街の誇りとも言える場所で、小さな原画展を開催させていただきたく存じます。

通常は店休日である月曜日、5月30日は1日書店として「はるのひ」限定20冊の販売をします。

11時から17時くらいまで、ボクが店内でうだうだしていますので、茶などご注文の上、お声かけいただけましたら、絵本の背景に塗り込んだお話などさせていただきますね。

小さな店ですので、おひとり、おひとり、バラバラとお運びいただけたら幸い。

小さくとも風通しの良い会話の現場になればいいなと願っております。

!)この日以外は人気店ゆえ、
いわゆる一般のお客様で入店出来ない可能性があります。
わざわざお越しになられるようであれば、ボクにご一報くださいませ。

「いくつもの空の下で」展 at 滋賀の能登川図書館

2022 年 5 月 23 日 月曜日


京都新聞の連載で大好評をいただいた「暮しの手帖」元編集長の澤田康彦さんのエッセイと、それに添えたボクのイラストレーションの展覧会が、澤田さんのご地元である滋賀県の東近江市立能登川図書館の展示室で開催しています。

いくつもの空の下で
小池アミイゴ イラストレーション展 + 澤田康彦“青春”コレクション

 会期:2022m年5月18日(水) ~  7月3日(日)

【会期中の休館日】月曜日、火曜日、5月27日(金)、6月24日(金)
会場:能登川図書館・博物館ギャラリー
〒521-1225 滋賀県東近江市山路町2225
TEL:0748-42-7007

「いくつもの空の下で」京都新聞出版センター刊(1700円+税)でなんと!
連載に使用した47点の絵、すべてカラーで掲載されています!

そもそも編集長さんとの本作り。
濃厚な言葉の交換で、本の体裁が変化してゆき大変面白かった!

ブックデザインの佐々木暁さん、
編集者とイラストレーター、それぞれクセの強いおじさん相手に、
さらに斜めゆくアイデアを投下してくださり、
とても美しく若々しい一冊に育ちましたよ〜!

表紙の絵は何枚か描いたのですが、
ともかく心も体も気持ち良いものを提供したいと、
レイアウトのサイズを何度も無視して描いてごめんない、、

でも、うん、気持ち良いのが描けたです!

2020年5月より11ヶ月に渡り連載された澤田さんの歳時記と週刊のエッセイがまとめられた一冊は、京都新聞が読まれる京都滋賀エリアでは大好評を頂き、写真は5月15日に京都新聞のホールで開催された対談(漫談?)後のもの。

その後滋賀に移動し、思いがけず大展覧会になった会場設営2DAYS

当初想定していたイラストレーション展は、
いつしか「ふたりのオジサンの青春グラフィティ」へ!

地元出身の澤田さんが持ち込む大量の「あの頃のボク」が、
今の俺のイラストレーションを駆逐するが勢いで会場を席巻!
負けじと俺も、看板は急遽手描きに。

さらに、会場の防災装置を我が作品のごとく魅せる、二百戦錬磨の展示スキルを披露!

図書館スタッフのみなさまの愛に溢れたお手伝いもたっぷり浴びて、
人情7割~オシャレ3割という、実に今っぽい展示に育ちましたよ〜!

てか、編集者とイラストレーターのガチンコの展示って、みなさん想像つきますか?
俺は想像つかなかったです。

しかし、

おもしれ〜〜〜!

澤田さん、自分の中学や高校の頃の日記までさらして、、
これじゃ生前葬だね、だって。。

というわけで、
次回は6月18日_子どもワークショップ
そして19日_澤田さんとのトークショー

みなさん、
滋賀県琵琶湖の辺り、東近江市の能登川図書館でお会いしましょう!

詳細は能登川図書館のHPをチェックしてください。
押忍。
で、能登川図書館の場所や開館時間など。

 

 

 

133ヶ月め

2022 年 4 月 11 日 月曜日


今日は2011年3月11日から4,049日、
578週3日、
11年1ヶ月、
133回めの11日です。

11年前の3月11日の大震災発災後目にした「人の命が不当に失われてしまうこと」について、今も考え続けています。

自分が物心ついた頃、ニュースではベトナムで戦争が行われていることを伝えていました。
日本や、1972年5月15日までアメリカの占領下にあった米軍基地から、多くのアメリカ兵がベトナムの戦場に送り込まれ、
日本もこの戦争の最前線基地のような役割をしていました。
1975年4月30日は、南ベトナムの首都サイゴン(元ホーチミン市)が北ベトナムに接収され、ベトナム戦争が終息に向かうのですが、こうしたことはボクの小学生から中学生時代と重なるも、学校では「今何が起きているのか」を教えられることは無く、ただ目にするニュース映像から、「今戦争が行われている」という曖昧な不安を抱えるだけなのが、ボクたちの世代だったのではと想像します。

ただ、ボクの家には報道写真家の石川文洋さんの、ベトナムの戦場や戦時下の庶民を撮影した写真集があり、戦争の不条理さ、出口の無さなんてものを感じることは出来ていたはずです。
(その割に、プラモデルの戦車を作るのが趣味だったり、仮面ライダーが悪い奴らを根こそぎぶっ倒してゆく姿に溜飲を下げたりなのだが、、)

そして、その後も世界では戦争が起き続けます。
もしくは「紛争」という名前に置き換えられたものも無数に起きます。

世界は冷戦という東西の大国間でのチキンレースのような状況にあり、上京し大学に入学したばかりの頃は、出来立ての友人との異性や音楽にまつわる話と共に、「今戦争が起きたら戦場に行くのか?」なんて会話をしてたな〜。(自分は、侵略されたら闘わねばならないだろう。そんなこと言っていたはず。)

それでも「文明国」を語り、国連でも重要なポストにあるような国は、戦争を避けるために尽力するものだと思っていたら、ソ連がアフガニスタンに侵攻し(実際は大学入学前だが)、イギリスはフォークランドで「紛争」を起こし、アメリカは湾岸戦争の当事者になります。

そうしたニュースを耳にし目にする度に、石川文洋さんのカメラの先で起きたことを振り返り、思い出していたボクです。
日本はバブル景気という狂気に踊り続けているのだけど、この瞬間に不当に失われている人の命がある。

そんな居心地の悪さを感じ、ちょっと自分を追い込むような生活もしてしまい長期の入院を経験し、1993年3月には「群馬の実家を火事で失った」なんて先で、1995年1月に阪神・淡路大震災、そして3月に地下鉄サリン事件という、命について真剣に「これまでの価値観をひっくり返しても考えなければならない」事件に、きっと「被害者では無いけれど当事者である」とう認識で向き合ったはずです。

今振り返り、その後自分がやったことは、もしもの際に真剣に語り合える仲間を創ることではなかったかと。
CLUBやCafeで創るイベントの背景には、かならずそうしたテーマを滑り込ませておき、語り合える仲間を可視化させていった。

そして、ニューヨーク2001年9月11日
さらに、新潟の中越地震や福岡の西方沖地震と、共に考え行動する共を得て、それは小さな力でしか無いけれど、愛しき何かを生かすだけの力にはなるアクションが起こせた。

そんなアクションを重ねる中で「人ひとりの命が失われる重大性」というものを心や身体に染み込ませ、思いがけず自分が人の親になることにもなった。

が、2011年3月11日に起きたことは、そうした経験も一気のどこかに流されてしまったように思えた。

この未曾有と呼ばれメディアで共有されまくった悲劇に対し、ボクは圧倒的な当事者となったはずだが、それを語る言葉を持っていないことに気がつきました。
これはまずいぞ!当時1歳だった息子が物心ついた時、せめて自分の言葉として語れるようにしておかなければならないと確信し、北の方に弾け飛んでゆき、それは11年後の今も続いている。


今日は何を書こうか決めずにタイプを始めてしまったら、こんな振り返りになっています。

人は生きているだけで不条理に巻き込まれるものだ。

自然災害が頻発する日本で暮らしていると、そうした刹那な考えが身に染みて、可能な限り人間同士争いは無くさねばという考えに至ると、希望や願いも込めて思います。

しかし、世界のパワーバランスの中では、そんな甘っちょろいこと語っている場合では無く、必要であれば他者に対し不条理な死を与えていいのか?

文明とは100歩譲って戦争を起こすものであるとして、文化とはなんだろう?

今ウクライナで起きていることは、まったく起きるべきことでは無いと強く思う。

が、ウクライナもロシアも心の中では地続きであるという意識は、さらに強く思い、
自分の足元で出来ること、やるべきことを考えねば。

でなければ、3月11日に失われたものに対して申し訳ない。

2022
0411
PEACE!!

フリーランスの契約課題ハッカソン

2022 年 4 月 10 日 日曜日


フリーランスの働き方について考える初の試み「みんなでつながる!フリーランス月間」
4月9日は先週のアイデアソンに続き「フリーランスの契約課題を考えるハッカソン」。

ともかくアイデアを出し合った「アイデアソン」を足場に、それを実行に移すためのテクニカルなアイデアの共有とブラッシュアップを繰り返す、「ハッカー」的作業を「マラソン」的に5時間行う「ハッカソン」です。

日本労働組合総連合会「連合」の主催で、ファシリテーター原 亮さんの見事な司会の元、日本の労働人口の4分の1に当たる、フリーランス(曖昧な雇用という側面がある)の働き方、発注受注の関係の中での契約についてなど、より良いものにするためにはどんなアイデアがあるのか、フリーランスで働く誰もが共有出来るであろう問題解決のための大きなターゲットを設定し、オープンに語り合いアイデアを交換し、問題解決に役立つシステム構築を楽しく行いました。

という作業をする前に実例報告。

先週の声優業界やデザインワークでの実例に続いて、今週は映画業界のギャラのあり方や働き方について、NPO法人「映画業界で働く女性を守る会」のSAORIさんが登壇。

長年小道具をやってこられた方ですが、
映画業界で働く女性は、子どもが産まれると職を離れることがほとんであることから、映画の仕事を子育てしながら出来るものにしたく、NPOを設立されたそうです。

映画製作での働き方は、「準備期間のパート」「現場のパート」に別れていて、作品単位の契約となります。
ギャラは1か月単位の契約で、労働時間の明記は無く、その間働かせ放題。
現場パートでは、撮影の時間帯を決められず、1日の労働時間がわからないまま働く状況。
また、撮影の休み日は準備に充てなければならず、休みにならないとのこと。SAORIさんの経験では、4ヶ月無休であったこともあったそうです。(自分も4年くらい休めてないかも、、)

映画業界で働く方はみなさんフリーランスなので、一般の労働のあり方を知らず、SAORIさんの場合は、お子さんが出来たことで知り合いになった、ママ友との会話で「働くことには休むことも含まれている」ことに気がついたそうです。
(この辺、イラストレーターにも当てはまるよね、、)

忙しく休みの無い状況は、判断力を失ってしまい、たとえば現場のハラスメントなどに対しても鈍感になってしまい、働き方の改善などが発想される余地も無くなってしまう。結果、映画が好きでこの仕事をしているが、映画を観にゆく余裕は無いという、悲しい矛盾が生まれています。

定期的に休みがあることは、仕事を続ける上での安心感になるという実感が語られました。

しかし、こうした仕事の現場で契約書というものを見たことが無い。
がしかし、慣例で縛られる業界の中で声を上げることは難しく、また、労働時間を整えることとで映画の制作費が高騰するという、日本の映画製作の相容れない現状もあります。

現状、
NPO法人「映画業界で働く女性を守る会」に入会すると、フリーランス協会のサービスを半額で受けられると共に、働き方の基準が示されたクレジットカードサイズの会員証が発行されるそうです。


フリーランスで働く人のストレスチェック、いいアイデアだな〜。

こうしたSAORIさんの活動の源泉は「映画が好き」であることであり、何かに抗うというより、「この仕事を良いものにしたい」という願いであることが、素晴らしいと思いました。

で、
ボクからアメリカの映画界の働き方の質問。

・俳優から小道具までギルドがあり、契約した時間が10分でもオーバーすれば対価が支払われる。
・プロデューサーはお金の管理。監督が撮影を2日伸ばしたらクビになることもある。

とのこと。

さらに質問、
日本の映画界では、関わった映画が大ヒットした際に特別報酬はあるか?

・大入袋として関わった映画のDVDが配られた。。
・稀だが、2万円ほど配れれたことがある。

もしくは、
小道具として作ったものが知らぬ間にグッズになっていたことがある。

なるほどなあ〜。。

そして、
先週に引き続きグラフィックデザイナーの西村淳一さん登壇。
お話は先週を踏襲しつつ、著作権や契約、同実制の保持や著作者人格権について、実例を挙げて語ってくれました。
こうしたことは、自分が働くイラストレーター協会がやらないとね。

そしてハッカソンスタート。
オンラインも含めた5つのグループに分かれて、先週出たテーマを参照しつつ、さらなるアイデアのブラッシュアップ。

今回、先週のボクのレポートに触発されたイラストレーター仲間の吉實 恵さんがご参加くださりました。さらに、Yahoo!に勤めながらフリーランスの仕事にも携わるHさんとボクと3人のグループでハッカソン開始。

まず自己紹介。

・名前の仕事
・ハッカソンに期待すること
・今の自身の身体やメンタルの様子

以上を30秒以内で。

これは「一般的」に語られる社会的立場の上下を外す作業だね。

その後各チームのテーマを決める作業。

先週出たのは、
・オンラインやAIを駆使した簡易な契約システム
・フリーランスで働く人に寄り添うAIによる問題共有システム
・オンライン上に約款を置くシステム

自分が参加したチームは、
・フリーランスにとって理想的な働き方を提供した企業に「ありがとう」を伝えるアワード創設。

これは働く者と雇用側とで対抗するでなく、お互い力を合わせて日本の働き方を良くし持続可能な仕事を育ててゆこう!などという壮大な目標に向かってのアイデアでした。

これがけっこうみなさんに刺さったようで、各グループ、テクニカルな契約システムに良き雇用側を讃えるアイデアを盛り込んでいました。

が、ボクたちのグループは、あらためて働く意味から問うことからスタート。3人それぞれが「これまでやってきた中で最高の仕事」「最悪な仕事」を、ボクが良くやる一本の線で表すワークショップで表現。

その仕事の中でと「喜び」と「残念」な成分の分量を1枚の紙に1本の線で描き分ける、誰でも出来る作業。
「最悪な仕事って線引きづらいよね〜」などと皆さんの口からホンネがこぼれる、が、意外や、

「最高の仕事」の中にも「最悪な仕事」の中にも自身が改善すべき問題が、グラフィカルに現れたではないですか。

3人それぞれがその仕事の背景を語り共有した後、我々はフリーランスで働く上での契約の必要を語っていて、それは「良き仕事をするためには、最低限の足場としての契約などが必要だよね」という認識の共有は、先週までに出来ていた。

が、実は、
働くためのモチベーション「私はこの仕事を良きものにしたい」ということ”も”大切だよね。さらには、「良き仕事を次の良き仕事に繋げたい」という足場が見えたように思いました。

そこで今回チームとして目指す風景を、

発注受注の縦関係をフラットにし仕事を持続可能なものにする。

に設定。

そこで、
フリーランス側のポジティブなマインドという足場を確認した上に、仕事の足場としての契約を置けたらいいね。
そんな考えを共有した上で3 人のハッカソンを継続。

シリアスな話を笑顔で交換しながら浮上したのは、フリーランスが働くためのマッチングアプリ「フラッター」

フリーランスが仕事を見つける際、
雇用側がフリーランスを見つける際、

お互いが求めるもの、”ギャラ”や”労働条件”だけでなく、”モチベーション”や”仕事に対する愛”などを入力。

自分にふさわしいと思える仕事が見つかったら、(ここでは1本の線で表現したような人に親和性のあるグラフィックも活用)

・先方の仕事に対する理念の「確認しました」のボックスにチェック


・仕事上のトラブルを避ける約款の「確認しました」のボックスにチェック

で簡易契約が成立したとして仕事相手と繋がる。

その後、ギャラの見積りや請求のフォーム、さらなる詳細契約が可能なフォームなど利用出来る。

そして、
仕事完了後、もしなにか問題が発生したら、
・該当仕事に対し仕事上問題を書き込み送信出来るフォームを置く。

これは、直接クライアントに向かうのでは無く、AIで解析し(この辺まだアイデア足りず)、良き仕事のあり方が可視化されるデーターベースに集積され、オープンソースとし、社会全体で良き働き方を考えるための素材とする。

そして!
年に一度、フリーランスにとって理想的な仕事を創造した企業を「フリーランスにやさしい仕事大賞」として表彰。

表彰された企業に、日本のフリーランスの働き方を良くするためのアイコンとなってもらう。

労働人口の4分の1を占めるフリーランスで働く人が、「あの企業と仕事したい」という意思が可視化されることで、それに続く企業が生まれてくれたらいいな〜

というところまで考え、寸劇を介した発表会へ。

実は、吉實から「もっと受注側の意識を高める必要がある」との指摘があったり、このアプリは高額の契約案件に適しているかの検証は、タイムアップで出来ず。

しかし、審査という立場で講評をくださった皆さんから高く評価頂き、アワード創設に関しては、実際に予算がつくのでは?というところまでやれました。

他のグループが受注側が発注側を格付けするといった一方向の矢印案であったのに対して、発注受注のどちらにも仕事の喜びの矢印が向かう、共生型の社会の実現という大きな風景を描けていたのが良かったのかなと、思いました。

いや、他のグループ提案のテクニカルなアイデアすべてが面白くて、今フリーランスの働き方に真剣に楽しく考える現場が創られたってことに、ものすごい意義を感じたのでありました。

再来週の研修発表会に向けて、来週もさらに分科会があるのだが、
https://jtuc-network-support.com/minfree/#040209_corner
きっと出席しちゃうんだろうな〜

前回はボク1人がフリーランスのイラストレーターとして出席。
しかし、今回は吉實さんご参加ということで、参加者倍増!

興味あるフリーランスの方、お声掛けくださいね〜

 

 

 

フリーランスの契約課題アイデアソン

2022 年 4 月 3 日 日曜日


4月2日に参加した『フリーランスでの働き方や契約』に関するアイデアソンがとても面白かったので、
備忘録。

連合が主催で、紀尾井町戦略研究所株式会社が事務局を務めて運営。
政治的背景の無い場で、フリーランスの働き方についてポジティブなアイデアを導き出す方法に共感。
ボクは、復興庁に出向し震災復興に尽力された方からお誘いを受けての参加です。


ボクは東京イラストレーターズ・ソサエティの副理事長に就いた4年前から、
イラストレーターにまつわる問題解決のディスカッションを密に重ねてきました。
今回、イラストレーターという枠組みから踏み出し、
他業種の方々と『フリーランスで働く』ことについて情報共有とディカッションしたことで、
視界が大きく広がったイメージがあります。

アイデアソンの冒頭、3業種の方から事例報告。


・声優でナレーターの方。

30分番組のアニメーション/1クルー_3ヶ月/13本のアフレコ収録の場合、
声優は毎週、たとえば水曜日の7時間ほどを6ヶ月拘束される。

アニメーション1本で駆け出しの声優のギャラは15,000円に設定されていている。
作品が再放送されると×1.8の計算で27,000円が支払われる。

毎年個人ランクの更新があり、1,000円刻みでアップされるが、
ほとんどの声優が18,000円ほどで上げ止まりになる。
さらに、現場では「18,000 円は高い」と言われてしまう。

主役級の声優は、毎回アフレコの仕事があるが、
脇役は13本のうち数本だけの場合が多く、
ひとつのアニメーションの仕事でギャラは10万円ほどにしかならない。

こうしたことは日本俳優連合が過去に規定にしたもので、
個人事業主である声優がクライアントと契約書を交わすことは無い。

これらの発言は記事になっています。
https://www.j-cast.com/2022/03/02432205.html?p=all

声優さんは雇用不安で問題提起出来ない。
飲み会レベルでは愚痴は出るが…
このシステムに異を唱えた声優さんがいたが干されてしまったこともある。

声優さんは、ヒット作周辺のプロモーションや歌唱で稼ぐことは出来る。
それに惹きつけられ人気職業の上位にも上がる声優だが、
その華やかな風景で見えなくなっている働き方というものがある。


・デザイナーさんが経験した無断転用と裁判の話。

勤務7年、フリー3年、法人化11年。デザイナー団体には未参加。
グラフやマップ作成を得意とされるデザイナーさんのフリーランス時代。

ある本に提供した大量のデザイン、その1点1点の単価は安いが、
それをそのまま別の本に、色や細部を変えただけで無断で使われてしまった件。

これまで10年ほど付き合いのあった出版社との慣例で、
契約を交わすことなく進めた仕事でのトラブルということで、弁護士に相談。

訴訟では記憶や請求書、メールなどを検証。
二次仕様に関する取り決めが無いことを確認。

これらにより裁判で勝利できた。

=解決方法=

意思表示=文章を残す

有利な契約を結ぶ

慎重にメールを送る

正確な見積と請求書の作成

特にメールは記録として残る可能性があるので大切にする。

そもそも、こうした契約を結ぶ慣例が無いこと。
ギャラ交渉や契約書を交わすし辛い空気があることに問題を感じる。

・オンラインマッチングプラットフォームの提供するキッズラインの法務担当者。

保育、家事代行、家庭教師のサポート会社で、ユーザー数、195,000人

ユーザー(保育など受ける人 ) と サポーター(保育などを提供する人) の間の契約代行。
決算はそれぞれ手数料10%(ユーザーの短期契約は20%)

これらの契約はオンライン上のプラットフォームで簡潔に行うことが出来る。

また、
トラブルが発生した際の詳細な解決法(違約金の発生など)を提示、トラブルの即時解決に務める。

目的が、フリーランスの人が安全に働けること、
ユーザーが安心してサービスを受けられることと、明快である。

++

以上の事例を報告を受けた後、少人数グループに分かれての
『フリーランスの働き方は契約に関するアイデアソン』スタート。

ボクは、前出のデザイナーさん、ウエッブデザイナーさん(ウーバー経験者)、画家(イラストレーションの依頼も受ける)のお三方とブレスト。

○アイデアソンを簡単に説明。

・間違っていてもいいから思いつくアイデアを出せるだけ出す。

・その中から優先されるものを選び、それに対してさらにアイデアを出し合う。

・持論に固執することなく、相手の言い負かすことを目的にしない。

・完成形の答えを求めず、しかし、みんなで向かってゆける問題解決のターゲットを共有する。

これは自分がずっと続けてきた現場の作り方で、イラストレーターズ協会には徐々に投下中。

イラストレーターの人数だけある働き方の問題を解決するために、
持論を通す決定方法は多様性に対応できず。
まずは個人事業主であるイラストレーター1人ひとりが並列で置かれた場所で、
それぞれの問題がオープンいシェアされる状況を作らねば、だな〜。

逆説的な話になるけど、オープンな意見交換を目指したミーティングの後、
参加者から個別に意見メールを受けることがあるけど、
それが解に繋がることは無いのだよね。

で、自分が参加したチームは、

『フリーランスの仕事と契約のあり方の矛盾の解消』みたいテーマを選択。

ファシリテーターの原 亮さんのミーティングの「設計」と「進行」が素晴らしく、
参加者みなさんオープンに言葉を発し、仕事の契約上の大量の問題を一気に共有出来ました。

その中でみなさんが一番うなずた印象の「ギャラや契約について語りづらい状況がある」
ということに対し、解決に至るアイデアをさらに出し合いました。

結果、

『未来の理想的な仕事のあり方』などというワードが飛び出し、

・「発注」「受注」が縦関係に見えるのを、なんとか同じフィールドに並列させて置く。

・「報酬」は「対価」であるという考えの周知。

などという必要が語られる。

が、
そういうことこそ「仕事をくれる」人に言いづらいなあ~~、、

ならば発想は飛躍。

業種を超えたフリーランスが集い問題共有出来るプラットフォームを構築し、
「フリーランスから見た理想の仕事」をフリーランスが褒める
『こんな仕事創ってくれてありがとう!大賞』を創設。

年1でクライアントやその仕事にまつわる人たちを表彰するとともに、
毎年フリーランスの仕事のあり方を検証する機会にする。

パワーワードとしては、

『フリーランスが向上させる企業イメージ』なんて壮大なところまで行き着きました。

目指すのは、フリーランスで働く者とクライアントと1案件の関係性で終わるで無く、
「その仕事を持続可能なものとすること」も作業に内包させたパートナーとして、
未来方向に共に走ってゆくこと。

そんな仕事のあり方が構築出来たら、お互い契約の話をするのも当たり前になるだろう。
実現には時間かかるかもしれないけど、実現したらいいな。

ちなみに、
連合はウエッブ上で展開しているフリーランスの問題解決プラットフォーム
Wor-Q (ワーク)を展開していますのでのぞいてみてください。
https://jtuc-network-support.com

で、他の3チームは、

・契約の前に約款を置くことで、小額のギャランティの仕事の権利を守る。

「約款」とは、たとえばホテルに泊まる時もオンラインでなにか購入する際も、
問題が起きた場合の解決の基準となるルール。

こうしたものを、オンライン上で「使えるもの」にするアイデア。


・フリーランスで働く人の諸問題に対し、AIを活用した問題解決を図るスステム構築。

これは若い学生さんグループが提案。若くてキレッキレのみな、楽しみだ~

・契約のカジュアル化。

紙やハンコを使わず、オンライン上で素早くアプローチ出来、管理はAIが行う。

こうしたことのいくつかは東京イラストレーターズ・ソサエティでも実装をするべきではないかと。

今後もこの企画は今後「ハッカソン」「とりまとめのミーティング」「発表会」と続くので、
自分も責任ある立場として脳みそ揉みほぐしに出来るだけ参加してみるつもり。

こんな取り組みを重ね、みんなの働く足場を固めた上で、
みんな自由でクリエイティブなかっちょ良い生き方出来たらいいよね〜!

ともかく、フリーランスの働き方に対しこんな動きが生まれてきたのは、良かった。
実は30年前にやっておくべきことだとうイメージなのだが、、

ガオー!ムサシノジュラシック大作戦

2022 年 3 月 12 日 土曜日


ガオー! ムサシノジュラシック
小池アミイゴと子どもたちのコラボ展
オンラインワークショップから誕生した246点の作品が集まりました!

◆期間:2022年3月3日(木)~3月29日(火)
◆会場:武蔵野市立吉祥寺美術館 ロビー
 及び「浜口陽三記念室」「萩原英雄記念室」
*ロビーのみの観覧:無料
*記念室入館:100円(小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料)

2021年初夏に「井の頭恩賜公園の井の頭池から、恐竜の骨がみつかった」という架空の設定で作品を公募した子ども向けワークショップ「ムサシノサウルス発見! 恐竜の絵を描こう!」に集まった834頭のなかから1頭をチョイスさせていただき「ハジメサウルス」と名付け、それをキービジュアルとしてを、ムサシノサウルスの住む世界を心も体も振り切った絵具遊びの場を設け、展覧会を開催!

するつもりが、
オミクロン怪獣大暴れで、zoomを使ったオンラインワークショップに変更、、

が!
それがもの凄く可能性を感じる試みとなり、
また、スゲー作品もガッツリ生まれてしまい、
吉祥寺美術館のロビーを、そして展示室をジュラシックワールドに変えてしまったのです。


このオンラインワークショップは、後ほどキチンと検証してゆきたいなと思っていますが、
まずは、2月26、27日のメインワークショップに参加のみんな、
そしてみんなセーノでデカイ絵を描いてくれた「まちの保育園」の4歳クラスのみんな、
さらに、6~7施設を繋ぎ開催となった支援施設「ふれあい武蔵野」を利用するみんな、
オメーらマジでやべえヤツらで、サイコーだったぜ!!

ほんとみんな凄いから、
集まった246点の作品、ぶっ倒れるくらい気合い入れてカッコよく展示したので、
ぜひ見に来てくださいね〜!

鬱っとした社会に風穴空けるパワーを、
実はみんな1人ひとりが持ってることに気が付ける、
めちゃくちゃ気持ち良い現場だと思うぜ!


「台湾客家スケッチブック」

2022 年 2 月 21 日 月曜日

2022年2月24日、日本と台湾で同時発表になります。

日本ではKADOKAWAより単行本とKindle版 共に 税込1760円。

  • 発売日 ‏ : ‎ 2022/2/24
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 144ページ_全ページカラー
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4041121272
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4041121276
  • 寸法 ‏ : ‎ 15.3 x 1.3 x 20 cm

2019年夏、3週間をかけて巡った台湾の台三線エリア。
そこは台湾の人口の20パーセン弱を占める民族、客家( hakka)が暮らす土地です。

企画運営は台湾政府に置かれた客家委員会。

客家とは中国大陸の戦乱を逃れ、旅するようにして暮らしてきた民族で、
台湾へは明朝末期から清朝初期に次々と入植してきたそうです。
もともと山間を好む傾向にあったようですが、
台湾では、客家入植以前に台湾に暮らしていた原住民族と漢民族に挟まれ、
山間のエリアに細く長くその居住エリアが伸びてゆき、
その居住エリアを貫く国道3号線が”台三線”ということです。

時代と共にその民族意識が薄まってしまっていることが危惧され、
199年頃から客家のアイデンティティを取り戻すような運動か起こります。

そして今、
客家の文化を外から見たことを言語化しビジュアルに落とし込み、
時代に即した新たなアイデンティティを確立させるため、
ボクのようなものが招聘されたようです。

そんな旅でボクが出会ったのは、
今の時代を生きる上で必要とされるであろう、古くて最新の客家の文化。
なにより、ボクのような者を心から受け入れてくれる人々のマインド。

それはボクの人生の中でも格別の出会いの経験であり、
旅を終えた後、どのようにアウトプットしていったら良いのか、
大切な経験を汚すことの無いよう、とても慎重に考えていました。

2021年の年明け前後に、台湾でボクの台三線旅に関するコンペが行われたようで、
春にはKADOKAWAとのご縁をいただき、強力なプロジェクトチームとタッグを組む形で、
1冊の本作りが始まりました。

個人的に描いた280枚のスケッチと30点ほどの水彩画からビジュアルを厳選し、
2万文字ほどのエッセイを添えたこの一冊は、以下の方々のご尽力の賜物でもあります。

構成と客家文化詳細説明に関する執筆を頂いた”The 台湾通” の三枝克之さん。
娘さんの三枝真魚さんにも同様の執筆を頂いております。

編集統括の高尾真知子さん、豊田たみさん。

渉外で奮闘くださった郡司珠子さん、胡心語さん。

美しく真摯なデザインを与えてくれたSunui の片平晴奈さん、岩渕恵子さん。

そして、台湾側の台湾KADOKAWAや電通台湾のスタッフのみなさん。

ボクが客家の皆さんから受け取った熱いものを、
真正面で受け取ってくださった皆さん、ほんとありがとうございました!

そして、台湾政府の客家委員会の皆さん。
ボクの台三線の旅を楽しんでくださり、ボクの表現を尊重してくださり、
ボクが台湾の茶畑で見た一輪の雑草の花の美しさまで共有くださったこと、
有難く思うばかりです。
 (旅の間毎日InstagramとFacebookで発信することをお願いされ、
 客家委員会の方々はそれを見るのを楽しんでくれていたようです。
 今回そのインスタのポストを #台湾客家スケッチブック でまとめたので、
 お時間ある時にでも覗かれてみてください。)
https://bit.ly/3oZ03i4

なにより、
この旅をアテンドくださったミリーさん。
5人のお子さんをに愛を注ぐのと同様、この旅にも並並ならぬ情熱を注いでくださり、
ある意味「この本はあなたのものです」と語りたいくらいのものをいただきました。

残念ながら1冊の本のカタチで3週間の旅の感動すべてを語ることは出来ません。
しかし、
まずは拙い言葉と絵でありますが、ボクから台湾客家へのラブレターのような一冊、
美しく仕上がってまいりました、よっ!

客家委員会からの熱い希望で、
本誌カバーには台湾客家のアイデンティとも言える油桐花(ユートンファー)を描きました。

いつものようにイーゼルに板を乗せて、フリーハンドで描いていった油桐花。
それは描いたというより、客家の人々に描かせてもらったと言える、
自分の創作の中でも特別な美しきものになったと思います。

観光案内としては力不足なボクの文章や絵ですが、
もしかしたら、日本での暮らしに息苦しさを感じている人には、
新鮮な空気を送ることが出来る本になったのではないかと。

これを必要とする人、1人ひとりに手渡してゆこうと思う本であります。

ということでまずは2月23日~28日。
うちから一番近いお店、天然酵母パンのルヴァンのカフェルシャレで小さな原画展開催。
28日は昼過ぎから18時くらいまで1日本屋として、この本の販売をいたしますよ〜。

2年目の「はるのひ」

2022 年 2 月 21 日 月曜日

2021年2月に発表になった絵本「はるのひ」
2022年の春が近づくにつれ、この絵本を話題にしてくださる方が増えています。

良い絵本は、子どもに、そしてそれを見守る家族に育てられ、
次の世代へと手渡されてゆくものと考えています。

この絵本の2年目が、出会う人との幸せな時を紡いでまいりますよう、
作者のボクは静かに熱く見守ってゆこうと思います。

『はるのひ』作/絵 小池アミイゴ
徳間書店刊:本体1,600円(税別)
ISBN 9784198651602 本文・カバーデザイン:城所潤・舘林三恵
編集:高尾健士
印刷:株式会社東京印書館