TIS理事長退任のご挨拶。
一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティの理事長を退任、
次期理事長をサイトウユウスケ氏に引き継ぎました。
なお併せて理事も退任しております。
ありがとうございました。
5年間の理事長職を務める中で、自身の属人的な働きは事務局の機能へと落とし込み、会の執行責任や方向性を決める理事は新たな顔ぶれであるべきと、昨年春の理事会で次年度理事選挙の免除特権を行使する旨を伝え、緩やかなランニング期間を設けての引き継ぎとなりました。
サイトウさんはまだお若いですが、今の日本のイラストレーションを代表する作家として、TISの新鮮な顔になってくれると信じております。
ただ、自分のような働きをさせるわけにはいかず、自分は引き続きサイトウさんや事務局のバックアップを続け、また渉外担当のような役割を通し、自分みたいな者を生かせてくれたイラストレーションに貢献してまいりますので、皆様どうぞこれまでと変わらぬ無茶振り丸投げをよろしくお願いいたします。
趣味は「火中の栗を拾う」特技は「矢面に立つ」であります。
1988年に強力なイラストレーターの作家団体として結成されたTISですが、当時は「世界で最も元気な日本のイラストレーション」のような言葉が踊っていたことを記憶しています。
が、その後のバブル崩壊や出版不況、リーマンショックを受け、また、フルデジタル化やネットメディアの登場、アニメやコミックとイラストレーションの境界線が溶けたり多様性が広がり深まる中で、TISの強力な作家集団というアイデンテティは、イラストレーションのあり方と共に再考の必要が生まれました。
そうしたことから導き出した「TISとは」
8年前には一般社団法人格を取得したことで、その活動に公益性も求められる団体ということです。
ボクは地方を巡ることが多く、そこで出会うのは「イラストレーターって何?」「イラストレーションってお願いしたら描いてもらえるんだ!」「アーティストさんなんですね、好きなことで生きているって素敵ですね〜」そんな「イラストレーターって仕事を知らない」人ばかりです。
ただ、同一の業種の者が集い、その仕事に貢献するために、たとえば一般社団法人のような会を結成することで、初めて「イラストレーターって職業なんだ!」と気づく人は少なからずいます。
それはイラストレーターという一見キラキラして見える人たちを思うと極論に聞こえるかもしれませんが、実はあらゆる職種がそうやって自分たちの姿を見せて、仕事を確かなものへと育ててきたという事実があります。
こうした自分の振る舞いに反発を覚えた方も多くおられたはずですが、しかし、一時は退会者が急増した会も、今年初めて300名まで会員を増やし、その顔ぶれでもって新たなTISを形作る足場が「やっと」固められるに至っております。
今後は若い力をフルに生かし、そして必要があれば多くの経験を重ねてきた先達の知見を引き出し、イラストレーションというものがイラストレーターにとってより幸せなものに育つよう、オープンなコミュニケーションのハブとしてのTISを構築してくれることを心より願い応援してまいります。
それはイラストレーションに真に貢献する”TIS3.0“の登場を意味するはずです。
また議論の場で「〇〇さんが言ってたけど、」だったり「たぶん、きっと、だと思う」という言葉を使わぬようにしてきました。
また、自分はアイデアを考えるのが好きな方かと思いますが、それ以上に自分のアイデアを超えた発想に出会うことに喜びを感じたTISでの活動だったことを期しておきます。
まあ今更グジグジ言っても仕方ねえ。

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