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「上毛芸術線」の作品について。

2023 年 10 月 20 日 金曜日

こんにちは、小池アミイゴです。

これは2023年10月21日~11月12で開催の「上毛芸術線」への出品作品の解説ページです。

ボクは10月21日と23日に設営をしながら情報をアップしてゆきますので、
何度も訪れてみてくださいね。

とりあえず2009年に描いた赤城山の絵については、
こちら↓のリンクをご覧くださいませ。
http://amigos.yakuin-records.com/?eid=779950


2023年10月21日10時30分
粕川駅での設営が終わりました。

ここでのコンセプトは
『公共の場所に無造作に貼られたチラシやポスターとの愛に溢れたコラボレーション』

設営に入る前はこんな状況でした。

「困ったな」と思うも、
『誰かが貼った』ということを尊重して考えてみると、
一枚一枚のポスターやチラシも愛しく思えました。

設営を見守って下さった担当の方が、
「不思議ねぇ〜、絵も浮き出て見えるんだけど、チラシが真っ直ぐ綺麗に見える」
なんて言ってくれましたが、心の中で大きくガッツポーズ。

そう語るアナタこそ、絵の前で美しく見える。

そんな場所であればいいなと考えています。

しかし、粕川駅。
駅前の家が根こそぎ失われているなあ〜。

今回展示した花の絵のうちオクラと茄子は、
9月にここを下見した際に、駅からの道の脇の畑で咲いていたもの。

2018年春に亡くなった父が遺した家を2021年に売ってしまい、
父方の実家も母方の実家も失われている今、
こうして道端に咲く花の姿に、
たとえば自分によくしてくれた婆ちゃんの面影を見たりします。

この赤城山を望む風景の絵は、
今年の9月半ばに粕川駅を下見する際、上毛電鉄の樋越駅手前の車窓からの風景。

見る場所によって姿を変えて見せる赤城山ですが、
粕川の新屋駅近くで育ったボクにとっては、この形の赤城山が1番愛しいもの。

ボクが風景や花の絵を描く理由のひとつは、
子供の頃に身の回りにあった美しき風景が、
ある時を境に急激に失われていったことへの憐憫の情からだと思っています。

高度経済成長の波はボクが子供だった頃の赤城山南麓にも押し寄せ、
いつも遊んでいた川がある日に濁り、魚の死骸が浮かび腐臭を立てて、、
養蚕業と米作で潤うっていた土地のデザインが、なんだかスクエアのものに変わって行き、
ある日大地を覆っていた桑の木が根こそぎ引き抜かれ。

そうしたことは仕方ないことなんだと思いながらも、
子供心は傷ついていたんだってことを、
子供の頃のの春の日から何十年かが経った3月11日に思い知ったのです。

それでも、子供の頃に身体にと心に染み込ませた「美しきもの」は、
変わってしまった風景の中から美しき何かを見つける力になり、
2023年9月の車窓の向こうに見える雲の多い空と赤城山と実り始めた田んぼに、
息を呑むほどの美しさを感じたボクです。

*その他の作品に関しても後ほど語ってみます。

そして中央前橋駅。

2023年10月21日14時ではこんな展示。

これに、22日の前橋の街中で開際される「前橋コーヒーフェスティバル」での、
“誰でも絵が描けるワークショップ”3セットで生まれた参加者の作品を、
23日の昼前にレイアウトして完成させます。

自分の作品と前橋の方々とのコラボは、
誰でもアーティストであるばいいなと願う、ボクの理想の展示になるはずです。

展示終了後のレポートは後ほど。

というわけで、
設営が終わりました!


ああ、なんかとても誇らしいです。

「普段絵を描いていない」
もしくは、
「わたし、絵が描けないから〜」
なんて語る人とのワークショップで生まれた、
「一本の線で表現する楽しかった前橋の思い出」という作品群。

そのとびきり新鮮な表現と自分の作品、
なんなら「寄贈」されていた何方か様の切り絵の作品群とのコラボ。

子供の頃、夢の街だったキラキラした前橋。

しかし、今回前橋市上最もキラキラした場所を創れたんじゃないか?

ギラギラでは無くキラキラ。

それは、1人ひとりが表現することを恐れることなく、
1人ひとりのサイズでいられる街。

ボクが理想とする美しき街の姿を、
ボクのワークショップでみんな気持ちよく手を振り切った絵で表現。

ああ、ほんと、全部愛しい。

そして、子供たちの持っている力がストレートに表現された7メートルの絵。

泥沼のような制作現場で生まれたものを、
上毛電鉄のフォームにレイアウトしてみたら、

うわ、かっこいい!!

すごくワイルドで、すごくセクシー。

これは前橋で初めての試みとなる
「前橋コーヒーマーケット」という新鮮な現場だからこそ生まれたものだと、
俺は思うぜ。


自分はこんな風景を求めて、20年くらいこんなことを重ねてきて、
やっとひとつの風景に出会えた。

それは、随分と泥沼に沈み込んだように見えてしまっていた前橋の街を、
「ちょっとでも良いもの変えて行こう」という意思が集まり始めたこの数年の、
ひとつのチャレンジの場所「前橋コーヒーマーケット」で、
「ちょっとでも前橋を良いもに変えたい」人々に見守られた子どもたちと自分が生んだ、
きっとオトナたちの合わせ鏡のような絵。

中央前橋に展開する作品群は、
決してボクの力だけで生まれたものでは無く、
前橋を愛する人たちのマインドがドリップされたようなものだと信じ、
ぜひ誇らしく思っちゃってくださいね〜!

うん、前橋かなりサイコー!

個々の作品に関する解説は、
しばらくちゃんと眠れてないので、また後ほど〜

「前橋コーヒーマーケット」と「上毛芸術線」参加

2023 年 10 月 19 日 木曜日

10月21日から11月12日まで開催の、
群馬県の前橋と桐生を結ぶ鉄道”上毛電鉄”を舞台とする芸術祭
「上毛芸術線」
企画詳細 >https://jogei.jp
ご縁をいただき中央前橋駅と粕川駅の駅舎やホームに作品を展示します。
ボクのコンセプトは

「公共施設に美意識無く無造作に貼られているポスターやフライヤーにボクの絵を混ぜ込んで再レイアウトし、美しく愛に溢れたものにする作戦」

 

粕川駅は自分の地元ってこともあり、風景と花の絵を投下。
(掲載した風景画は、上毛電鉄の樋越駅近くから望んだ赤城山)

中央前橋駅では、
22日に前橋で開催される”前橋コーヒーマーケット2023″で開催のワークショップで生まれた絵と自分の絵を混ぜこぜにして投下してみます。
まずは21日に基本となる自分の作品を設営に向かいますので、

自分の作品完成は22日のWS後、23日のお昼頃になりますが、みなさんぜひ途中下車&HAPPYをよろしくです。

そして「前橋コーヒーマーケット」


初開催となるイベントのキービジュアルを担当。
絵を描くワークショップも開催します。

~ where good coffee grow ~
前橋コーヒーマーケット
⽇時:2023年10⽉22⽇(⽇) 10:00-16:00 ⼊場無料
場所:前橋中央イベント広場
住所:群馬県前橋市千代田町2-8-21

詳細は 前橋コーヒーマーケットのインスタ で〜

小池アミイゴの誰でも絵が描けるワークショップ

【オトナ向け】11時~12時「一本の線を引けたら、今日からイラストレーター編」¥800

【子ども向け】13時~15時「まえばしの、ちょっといいとこ教えて編」¥800


【オトナ向け】15時~ゆるゆる「絵の具遊びフリースタイル編」¥800

参加申し込みは以下のリンクの↓フォームよりお願いします。

*汚れてもOKなおしゃれで参加ください。
*ワークショップで生まれた作品は上記の「上毛芸術線」中央前橋駅会場に展示します。

群馬の前橋で「はるのひの展覧会」

2023 年 1 月 18 日 水曜日

小池アミイゴ×陶舗石渡「はるのひの展覧会」
2023.1.27(金)・28(土)・29(日)
12:00-18:00 *フルタイム在廊します。
@陶舗 石渡(弁天通り)
〒371-0022 群馬県前橋市千代田町3-4-7
詳細>  https://harunohi.info/

群馬県前橋市の弁天通りで75年の営業を終えた陶器屋「陶舗石渡」さんの店舗をお借りし、
絵本の原画とイラストレーションの展覧会と絵本の販売を3日限定で開催します。
これは前橋の街の再生を図るムーブメントと呼応したもので、
「何かできる?」のお声かけに「出来る!」と答え、ほぼほぼ持ち出しで行う、
ものすごく自分らしいアクションだと考えています。
群馬を出て生活し随分経ってしまいましたが、
群馬の皆様に喜んでもらえるかもしれぬものも、
少しは作れるようになれたのかなと。
皆様におかれましては冷やかしで結構でございますので、
ぜひ足を運ばれますよう心よりお願い申し上げます。
小池は3日間共在廊予定。
絵本の販売は「はるのひ」と「とうだい」の2冊。
自著「台湾客家スケッチブック」も置く予定でいます。

前橋へのラブレターみたいなもの

上毛電鉄の一毛町駅を過ぎると気持ちはそわそわ、次は終点中央前橋駅だ。
ボクは座席を立つと、進行方向左側のドアの前に立ち、車窓から広瀬川が見えるのを待つ。
ボクはまだ子どものと呼ばれる年齢だけど、広瀬川沿って柳の木の並ぶ色っぽい風景が、
自分をちょっと大人にしてくれるように思えるのだ。

列車が中央前橋駅に滑り込むと、その柳の枝がフワッと揺れ水面にユラユラした影を落とし、
キラキラした午後の光とダンスを踊っているように見える。

振り返ると駅舎一杯に貼られた映画のポスター。
ああ、ボクは前橋に来たんだ。

ドアが開き切る前にホームに飛び出し、改札を駆け抜ける。
車の排気ガスとトンカツが揚げられる匂いが混ざった空気がうれしい。

人生で初めて渡った歩道橋を、今日も駆け上がり、道の向こうへ駆け降りる。
広瀬川にかかる橋から身を乗り出し「今日も緑色した水がたっぷりと流れていること」を確認。
フランスパンは帰りに寄ることにする。

街の引力に逆らわず歩き、坂本書店の誘惑を振り切ると、銀座通りは今日も賑やかだ。
いつもそこにあるからい「いつか行こう」と思ってまだ行けてない100円ラーメン。
ジーパン屋の店頭の「欲しいジージャン」はまだ誰にも買われていない。
みやま会館では「007」の旧作をリバイバル上映していて、1階の「レストランみやま」は、
父親からフォークとナイフの使い方をしつこく教わったのがトラウマとなり、しばらく避けている。

千代田通りとの交差点で立ち止まると、お茶を焙煎するムワッとした香りに包まれる。
それはボクが一番前橋を感じる匂いだ。

ニチイやスズランの大きな建物が見えると、ボクは自然と駆け足になる。
行き交う人をひょいひょいと交わし、スポーツ用品店のウインドウに飾られた新作のスニーカーをサッと見渡し、
レコード屋から流れてくるヒット曲に頷いたりしてると、中央通りのアーケード街に入るT字路。

「こんなデカい屋根、誰が造ったんだろう?」
そんな想像を巡らしていると、なぜか自分自身が誇らしく思えてきて、
さらにオトナになった気分で商店街を一歩一歩。

老舗の呉服屋や陶器店。
鰻というものを初めて食べた店。
初めてクリームソーダを飲んだ洋食屋。
いつも焼きそばを食べる団子屋。
一切れのパイナップルを買ってもらった果物屋。
戦車のプラモデルが積み重ねられたホビーショップ。

強い陽の光から守られた場所で、店先に誇らしげに掲げられた看板は美しくシャープに、
人々の働き甲斐に溢れた表情は優しい輪郭でボクの目に映る。

そうしたものスベテを「ボクがオトナになっても美しいと語れるであろうもの」として、心に刻む。

右目に陽の光が飛び込んできたら、その先に大量の湯気が立っている。
片原饅頭のドシッとした建屋。

ここは前橋の街の中心であり、前橋はこの饅頭屋を軸に動いているんだと信じているボクは、
軒先で立ち止まり、柏手こそ打たないが、神社をお参りするようにして、店で働く人たちを拝む。

前橋の軸から30歩で前三百貨店。
そのガラスドアは魔法の扉で、丸いドアノブに手をかけた途端、館内は身体が吸い込まれてしまう。
3階がおもちゃ売り場で、そこは最近までボクの聖地だったのだが、今は向かいの電気屋が聖地となり、
今日もショーウインドウに飾られたSONYのピッカピカのラジオを眺め、ただため息をつく。

ボクはそれだけのために前橋に行く。