‘ワークショップ’ カテゴリーのアーカイブ

「かえりみち」で展覧会開催

2023 年 5 月 1 日 月曜日

 愛知の春日井市の古本屋「かえりみち」のギャラリー「ki」で展覧会を開際します。

『小池アミイゴの絵本の原画と花の絵の展覧会』

5月19日(金) ~ 6月14日(水) 11-19時 月曜休 
古本屋 かえりみち & gallery ki
〒486−0929愛知県春日井市旭町1−11 TANEYA2階

Tel:090-9749-9895

「だれもが”ひとり”にかえる場所」

勝川駅のそばにある古本屋&ギャラリー

絵本「とうだい」を中心とした自著の原画に加え、
きっとこの場所に合うであろう花の絵を交え、気持ちの良い場所を創り、
6月10日、11日にはワークショップも開催します。

昨年末に店主の池田さんからとても丁寧なお手紙をいただき、
その文面から自分の絵を届ける場所と直感しました。その後のメッセージのやり取りも気持ちよく
「ああ、ここはきっとボクにとって約束の場所なんだろう」なんて思いにも至り。
そんな時NHKで放送されてた番組「Dearにっぽん」の、
『あなたを想い、選ぶのは・心に寄り添う古本屋〜』というタイトルに惹かれて見てみると、
そこは全国の人から請われ、その人に相応しいであろう1冊を選書して届けといる本屋だって。良い活動だなあ〜なんて見ていたら、
「あれ?ここは今自分に展覧会のオファーをくれている本屋では?」なんてすっとぼけた驚き。
さらに自分が装幀画を務めた、レベッカ・ブラウンの「体の贈り物」が
『ご病気をされた方に届ける一冊』として紹介されていてびっくり。
20年前に心血を注いで描いた絵を纏った本は(サラッと描いたようにしか見えないだろうが、ともかく)
イラストレーターをやってきて良かったな〜!と心から思えた仕事。それが今こうして生かされていることに感激し、その旨を「かえりみち」さんに伝えると、
自分が装丁画を担当したことをご存知無かったとのこと。
2023年の夏が始まる前に、この場所で展覧会を開催することは偶然では無く必然だと思ったし、
やはりここは自分にとって約束の場所、いや帰るべき場所の1つでは、なんてね。
ともかくこの場所に向けた絵を描いてみなくちゃと描いたのが、
フライヤーに使われているエリゲロンの白い花の絵。
背景の青はきっと宮城県気仙沼から唐桑あたりで出会った海の色のはず。
そこにはどうしても生かしたいものがあって、「かえりみち」を思うと自然とこの色が導き出され、
結果自分にとってとても新鮮な仕上がりの絵が生まれました。それは愛知県の古本屋で何をやれば良いのか明快になったということでもあります、
ではみなさん、かえりみちで会いましょう。

直島子どもアートセッション 4 days

2023 年 4 月 26 日 水曜日


2023年4月16日~19日
香川県瀬戸内の直島での”子どもアートセッション4DAYS”
笑顔のフィニッシュを迎えました。

子どもたちとの現場となったのは、
NAOSHIMA SAILERS CLUB

町立直島小学校や直島幼児学園(認定子ども園)に隣接する高台に新設され、
今年の4月から運用が始まったばかりの放課後クラブです。

その空間は子育て中の親の誰もが「わ〜!」と声を上げ、
「ここで子供を預かってもらえること、うれしい!」と思えるだろう場所。

この運営は “なおしまキッズポート
それぞれお子さんを持つおかーちゃんたちが、
直島で生きる上で必要なことを自分たちで創ってしまおう!
もしくは「しまわねば。」という必然で組織し実行に移した、
子供たちの居場所と未来にコミットしたグループです。


今回、この企画のコーディネーターの方にキッズポートを紹介いただき、
オンラインで「はじめまして」のミーティング。
その瞬間「ああ、この人たちとなら新鮮な何かを創れるな!」と直感。

その後のアイデアのキャッチボールもスムースに、
当初の「子どもたちとのワークショップを4月19日水曜日にやってください」というオーダーに対して、
週末を加えた複数日のセッションを行うべきと判断。
しかし事前情報はできるだけ遮断し、直島の「はじめまして」の場所を目指しました。


直島子どもアートセッションDAY 1 は、4月16日(日)

子どもたちと「アートの理屈」を蹴散らして、
身体が喜ぶワイルドなアート体験を、子どもの親もスタッフも自分も共有しよう!
という試み。

だけど、
実際は「なんのこっちゃ?」と感じて終わってしまった親御さんもいたはず。

なんだけど、
自分はものすごい量の「この場所に集った子どもたちの情報」を得て、
残り3日間のセッションでの振る舞いのイメージを高めることが出来ました。


一応この日のおさらい。

・「学校や家でやったら怒られるようなことやるよー!」

・なので、子どもたちに指導はしない。

・というわけでセッション中は「じょうず」という言葉は禁句。

・自分がやることのほとんど全ては、子どもたちが行うクリエイティブなアクションに対する共感。
「いいね〜!」「かっこいいねー!」「おっしゃれ〜!!」みたいな声かけに終始。

・子どもたちの「見て!見て!」にただ「見て」うなずく。

・それだけでも子どもたちは「よっしゃー!」とさらにクリエイティブを加速させ前進。

・その姿は「子どもたちが自分から自由を獲得している」ということであり、
 大人はその自由のフィールドを暴力や事故から守る。

・そして子どもたちはさらに安心し、さらにクリエイティブを加速させる。

・で、子どもがクリエイティブなテーマを掴んで、その実現に対するアドバイスを求めてきたら、
(たいていは「ねえ、これやって〜」みたいな話だけどね、、)
クオリティを高めるためのアドバイスを(べらんめいな職人言葉で)行う。
「じょうず」という言葉の使い所があるとしたらここだけど、自分はやはり使わなかったかな。。

これらひっくるめて言ってしまえば、
子どもたちととことんガチで向き合い楽しみ尽くす。

自分は子どもたちに「寄り添う」では無く「背中を追い」、
子どもたちが魅せる一瞬一瞬のアクションをキャッチし続けているのだけど、
子供たちの先回りは決してしないし、子どもたちが創ったものに対してジャッジもしない。

なぜなら、そうした方が楽しいから。

で、
大暴れでやり切った子どもたち、意外と視野の広い落ち着いた人格を獲得するぜ!
という余談で初日終了。

参加者多くて2部制になって、魂抜かれるほど疲れたが、
その疲れはただただ喜びだ。

直島子どもアートセッション DAY2 – DAY4 の三日間 は、
放課後クラブであるNAOSHIMA SAILRS CLUB の一部を自分の仕事用のアトリエとして使い、
学校から帰ってきたこの施設を利用する子どもたちとの自然なアートセッション。


自分が持ち込んだ画材は全てプロユースのもので、
しかも服に着いたら落ちないアクリル絵の具だったりで、
で、想定外だったのは、小学生も制服着用なんだ〜〜、、
という「親御さん、もしもの場合はごめんなさい、」な状況で、
子どもたちが自分から興味を持ったアートアクション(絵の具遊び)を、
プロの自分とのコミュニケーションを持って実践。


これは福島県奥会津の昭和村で確立した現場作りなんだけど、
直島では SAILERS CLUB があるので、安心して投下出来ました。

五月雨式にセーラーズクラブにやってくる子どもたちと、
マンツーマンのような形でコミュニケートするセッションでは、
「クオリティ」という言葉が飛び交って、

いや〜〜、作って、創って、造りまくったね〜!

それが何であるのかなんてことより、
作って、創って、造りまくることにこそ意味があったような、
そんな、ワイルドでクールで、ある意味セクシーでさえあった創造の事件現場。
(「セクシー」は「生きる」と訳して読んでもらえたらいいな)

そもそもこのセッションはなんであるのかなんだけど、
まずこの企画に対してお金を出してくれる人の存在があります。

アメリカとイギリスの慈善活動家たちが日本各地の文化に触れる旅を楽しむ。
その行程の中には震災被害に遭った福島と神戸、
そしてアートの島として海外でも有名な直島が組み込まれていて、
それぞれの地域や子どもたちの未来に対する投資を行う。
欧米では美術館などが主催し行われれているパトロンツアーを、
日本で実験的に行ったという事みたい。

で、直島でのドネーションの使い方として、
子どもたちとガチで取っ組み合っている自分が使命され、子どもたちとセッション。セッションの最終日にお金を出して下さった皆さんをお客様として迎え、
子どもたちが創った作品の除幕式。

ツアー参加者それぞれが寄付したお金の価値を子どもたちの笑顔で確認し、
やはり笑顔で帰国するという旅。

で、いいのかな。

自分はその意味を確認することなく直島に向かい、
この場所で子どもたちたその親御さんと過ごすことで、
意味が後から喜びと共について来たという感じだろうか。


アメリカ、イギリス、日本のエージェントもガッツリ噛んで作り上げた実験現場は、
海外アートに詳しい友人に言わせると、とても意義ある事みたい。社会の格差が広がる中、資産を持つ人が持たざる者への支援に人生の幸福を感じる生き方。

もちろん格差なんか無くなればいいのだけど、
だけど、7歳、8歳、9歳くらいのワイルドな絵の具遊びと、
海外からのお客様との喜びに溢れたコミュニケーションを経験した子どもたちの未来は、
彼らなりの幸せの形を生んでくれるんじゃないかと。

アートが目的で無く、人と人が繋がること。

繋がって良かったねでは無く、子どもたちの未来にコミットする発想を生まなくちゃなんだよね。

そうしたことに少なからずの確信を込めた希望を持って、
自分はハードワークをこの現場に投下。

それは海外からのパトロンさんにガッツリ伝わったはず。

楽しかったね!
また会おう、イエイ。

そんなこんなで自分にとって2度目の直島は、
素泊まりの民宿とセーラーズクラブとコンビニを結ぶ一本道の往復に明け暮れ、
(夜は民宿で東京の仕事やら連絡後とやらで、、)
有名な美術館やアート作品に触れることの無い、きっと自分らしい時間を過ごしました。
(昨年この件のミーティングで初めて来た直島は滞在5時間、、)


それでも、直島は30年ちょっと前から始まった島の再生、
そしてアートを生かした地域作りの力で、
なにげない風景の中にも、愛ある人の手が施された景観に出会い、
ボ〜ッと歩いている時間がとても幸せでした。


なんだけど、
ではこれはいつまで続くんだろう?
そんなことを なおしまキッズポートのみんなと語り合った日々でもありました。

直島、ちょうど町会議員選挙が始まり、しかし立候補者が少なく無投票で当選とのこと。

大きな精錬所とベネッセを有し「アートの島」として憧憬の眼差しを向けられる場所は、
住民からしたら今の所勝手に潤っていて変わる必要は無くイメージなんだろう。

だけど、だからこその課題を感じたおかーちゃんたちは、
直島再生の30年の歴史の先に、子どもたちの港 なおしまキッズポートを発想し、
さらに子どもたちやおかーちゃんたち、さらには地域の方々のための「とうだい」のような場所、
NAOSHIMA SAILERS CLUB を建てた。

除幕式の最後の方で、自分が作画を担当した絵本「とうだい」を読み語りする時間を頂きました。

「おーい、おーい、あらしにまけるな!」
「とうだいは ここにいるぞ!」

とうだいにできることはひかること。

くるくるなみを つきぬけろ!

ぴかぴか かぜをこえてゆけ!

くるくる ぴかぴか

子どもまみれの4日間。

海外からのお客様に綺麗な発音で自己紹介出来る島の暴れん坊たちは、
自分たちが自己紹介するならみんなもするべきだと言い寄るタフさを持っている。
その多くが島を出るのがこれまでの直島だったのが、さてどんな未来が彼らの幸せなんだろう。
まずは選挙の選択肢を増やしておく必要はあるんだろうな。
で、俺はかーちやんたちに呼ばれたら「直島また行くよー!」であります。

 

 

145ヶ月目_直島へ

2023 年 4 月 11 日 火曜日


今日は2011年3月11日から4,414日
630週と4日
12年1ヶ月
145回目の11日です。

週末から香川県の直島に行き、
16日から19日まで子どもたちとのアートセッションを行います。

舞台となるのはNAOSHIMA SAILORS CLUB
一般社団法人キッズポートが運営する立派な学童保育の施設です。
https://youtu.be/C7A-eQUvh-k

ワークショップのメインのひとつは16日の日曜日、
子どもたちといつものワイルドな絵の具遊び。

そして19日に海外のお客様をお迎えし作品の発表会。

その間SAILORS CLUBの一部を自分のアトリエに見立て仕事の絵を描いていると、

学校が終わって学童保育を利用する子どもたちがやってきて、
自然とアートセッションが生まれる。といいな〜
という目論見。

これは福島県奥会津の昭和村でやってきたことの直島バージョンです。

NAOSHIMA SAILORS CLUB、もしくはキッズポートは、
2人の女性が主となり運営しているそうです。

今回のセッションに向け、何度かオンラインでお話してきましたが、
とても話がしやすい方々。

いわゆる息があうって感じで、
彼女たちが気づいている直島の課題や子どもたちの問題に対して、
自分にどんな働きが出来るのか、とても新鮮な気持ちで臨めそうです。

フライヤーに掲載されている”対象”が”0歳~150歳”と自分の軽口のままになっているとかね、
わかってる〜!なのです。

そして4月19日。

事の始まりは去年の秋。

知人からの「子どものためのアートスクール開催について直島に来てミーティング出来ませんか?」とのオファーに答え、初めての直島へ。

ところがミーティングにズラッと参加したのは欧米から来られら方々。

それは、
アメリカの慈善活動家が日本の直島など数カ所で、アートによる子どもたちの育成と地域振興に投資したい。
とのことで、
アミイゴ、ともかく一度何が出来るか直島で見せてくれ。
ということのようです。

というわけで、
今回19日にその投資家グループを迎えて発表会を行うというミッションなんですが、
その現場としてコーディネーターさんが繋いでくれたキッズポートの2人と出会えたことが、
まずはラッキー。


アートの島ともてはやされる直島も、
子どもたちが抱える課題は他の土地と変わらず存在し、
ではここで何が必要なのか。
ここで出来ていることはどんな事なのか。
それは他の土地に置き換えて考えられるのか。
などなど、大きな学びの時間になるイメージでいます。

明日12日は日帰りですが福島の飯舘村へ、
この半年で3度目のフィールドワークを行い、
ここで何が出来るのか、
それは自分1人で導き出すのでは無く、
その後足を運ぶ直島から得るものもあるんだろうなと思っています。

ちなみに、
去年秋の直島から徳島の神山町への漂泊したフィールドワークについては、
以前のこちらの記事 > https://yakuin-records.com/amigos/?p=15508 と、
ダイハツの運営するサイト「まどをあけて」no.6 で読んで頂けます。


表紙には徳島県神山町で珈琲の焙煎を行う「豆ちよ」さんを描きました。

地方ローカルで奮闘する方から学びを得る日々であります。

 

はなこみちワークショップ

2023 年 2 月 10 日 金曜日

小池アミイゴの誰でも絵が描けるワークショップ武蔵野編
吉祥寺の「スキ」を集めるはなこみち”ワークショップ

2023年2月25日(土)
10:30-120:00
吉祥寺駅南北自由通路で。
参加費無料/はなこポストカード&缶バッチプレゼント!!

10時半から12時の間に吉祥寺駅南北自由通路内のイベントスペースにお越しください。
受付順に参加いただけます。

あなたの「スキ」をはなこに聞かせてください。

あなたの「スキ」を紙に書いてください。

あなたの「スキ」を紙に描いてください。

++

作品はお預かりし

1、3月11日このページ↓にズラッと並べます、
2、全部の作品をひとつの作品にまとめる予定です。

主催:武蔵野アール・ブリュット実行委員会
https://www.facebook.com/musashino.art.brut

「アール・ブリュット」をザクっと説明すると「誰でもアーティスト」
アートを学んだ経験が無くても、あなたの日常の真摯な表現、それはアートですよ。
そしてそれは世の中の風通しを良くし、生きやすい未来を創る力になりますよ。
かな。

*はなこみちワークショップ大展覧会!


*1人めの参加者


*そのお友だち


*以下ランダムにクリエイティビティ大爆発


*干支


*個人情報だが絵が素晴らしすぎ!

*裏に好きなものを書いてと伝えたが、絵と一緒がいいと。

*好きなもの「滝」だって!


*ハイブリット!


*「しこんじん」では無い。「にんじん」です。


*自由!


*自由!!


*自由色!


*素直な言葉!


*中国出身の方。


*日本出身の、


*親子合作ザウルス


*親子ハイブリット!


*うさぎっ!


*裏文字うさぎ!?


*みんな大好き!


*「無題っ」


*誰よりも「わたし絵が描けないから〜」と語っていた方がっ!


*自由!自由!!


*ねこ空間!


*ご当地を駆ける!


*会ってみたい!


*傑作!


*オトナ版傑作!


*大傑作!


PEACE!!!

142か月め

2023 年 1 月 11 日 水曜日


今日は2011年3月11日から4,324日
617週5日
11年10ヶ月
142回めの11日です。

昨日、そして昨年の12月と、息子が卒業した小学校の生徒に向けた「街の落書き消しと壁画制作に関するレクチャー」を行いました。

12月は80名ほどの4年生全員に向けて、そもそも街に書かれている落書きとはなんであるのかを、 1970年台にアメリカのニューヨークで芽生えたHip-Hopカルチャーの事など交え、沢山の画像を写し落書きとストリートアートの違いを説明したり、1つの落書きが多くの落書きを呼び込みさらには街が荒廃してしまう「割れ窓効果」について語ったり。
そんな話の1つ1つに対する4年生のリアクションがデカくて、いただいた45分をフルに語り倒してしまいました。

息子も過去に担任としてお世話になった、オープンマインド爆発なH先生と日常を共にする子どもたちは、自分をアウトプットすることを恐れぬ子が多いイメージで、このポジティブなエネルギーが、街を朗らかなものに変えてゆく力になればいいなと思いました。

そして昨日の6年生とは、レクチャーと言うよりセッションと言ったイメージ。

元々街の環境美化に興味を持つ子どもたちの2つのグループ25名くらいを相手に、まずは2つのグループが研究してきた落書きや落書き消し、そして壁画やアートのあり方についての発表から始まりました。

これは渋谷区が推進する地域学習「渋谷課」の授業の一環で、地域のおもしろいおっちゃんとして自分は呼ばれた感じです。

子どもたちの真摯な発表は心打たれるものでした。
ただ「街の落書きを消した方がいいのは、、法律で禁止されているから」「落書きがされなくなるには、罰則を厳しくすればいい」的な考えが、発想の大きな部分占めていたことや、「アートっぽい」という曖昧なもに課題解決を託していたりが気になりました。

そこでやはり「落書きとはなんぞや」ということを、Hip-Hopカルチャーやストリートでの犯罪、アートやコロナ禍などなど、社会の多様な事象から紐解き。また、落書き解消の具体的な先例として、福岡の街でアトリエブラヴォが行った壁画制作のこと、自分発想はそうしたストリートカルチャーから学び、たとえば自分の暮らす街での壁画制作の発想が生まれたことなどを伝えました。

そして、
そうしたプロセスを踏んで実行した落書き消しは意外と「楽しかった!」

この「楽しい」を伝えられたことがデカかったんじゃなかと思います。

子どもたちは本来「禁止」が嫌いで、この6年生は「禁止」の多い公園の問題なんかもディスカッションしてきたそうです。

が、自分達が社会の課題解決に動こうとする際「禁止」を動力にしちゃっているよね〜。

でももっと色んな発想、あらゆる感情を出し合って、みんなで「やろうぜ!」と思えるポジティブなマインドを確認しあうことを楽しめたらいいね。
落書きを消すことが目的では無く、自分たちが望む街の姿はどんなものであるのか、めちゃくちゃ楽しく考え、喜びを共有するようなところから遡り、「じゃあ落書をどうしたらいい?」という考えを、やはり「楽しく」考えられたら、それはその後も続けていける活動になるんじゃないか?

なんていうことをレクチャーの後の質疑応答で語ってみました。


ところで検索でボクのことを調べて女の子が、
「アミイゴさんはよくワルダクミという言葉を使っているようですが、それはなぜですか?」という、ヤッホー!!な最高の気付きの質問が投げてきたわけですよ。

それに対する回答を要約すると、
「落書き対策会議」みたいな名前で「議論」を始めてしまうと、みんな「良い答え」を出そうとしてしまい、滅菌された言葉が並ぶ「良い答え」にさらに「良い答え」を掛け続けて続けてゆくと、最後は何も無くなったり、全く動きのとれなくなるアイデアになってしまうことに良く出くわすんよね。
でも始めから「ワルダクミするよ!」と語って始めると、みんなリラックスして思うことを語れる、なんなら間違っているかもしれない事も、「こんなことあり得ない」なんてことさえアウトプット出来る。そういった言わば雑菌だらけの言葉の束からみんなで選び抜いたアイデアこそ、課題解決にパワーを発揮するんだぜ!

こんな話しをしたところで、やっと6年生の表情に輝き生まれたように思えました。

で、さらに「アートとは」という質問まで飛び出てきてね。
それについてはまず「自分が作ったもので、自分の存在は消えてしまった方がいい」ということ、そして「アートが目的では無く、アートも手段として利用し、みんながハッピーになれることを考え続けている」という自分のスタンスを語る。
しかし、そうしたある意味引き算の表現は簡単に手に入るものでは無いので、6年生のみんながやるべきことは「たくさんの美しいものに出会うこと」だぜと。

素晴らしいと言われる美術品でも、田舎のなんでもない風景の中にも、美しさは潜んでいるから、そうしたものをたくさん自分の中に蓄え、もし街角で落書きを見つけた時に、落書きを消す以上に、そこがどうすれば美しくなるのかを考えられるようになったらいいね!
なんてことを話しました。

この6年生を束ねたS先生は、ファシリテーターとしての能力がものすごく高い方で、以前見学させてもらった授業でも、子どもたちに「教える」では無く、「発想を共有させ」「考えさせる」ことを実に大らかな空気感で行っていました。

そんな方が、議論から企画発案までは辿り着くも、実行まで辿り着けぬ子どもたち、もしくは子どもたちを取り囲む社会をなんとかしたいと、自分を呼び込んでくれたようです。

ということで、時間を大幅にオーバーして行われた6年生とのセッションは次のフェーズへ。

6年生が企画案作ってくれたら、実行に向けてはハードワークさせてもらうぜ!

 

ガオー!ムサシノジュラシック大作戦

2022 年 3 月 12 日 土曜日


ガオー! ムサシノジュラシック
小池アミイゴと子どもたちのコラボ展
オンラインワークショップから誕生した246点の作品が集まりました!

◆期間:2022年3月3日(木)~3月29日(火)
◆会場:武蔵野市立吉祥寺美術館 ロビー
 及び「浜口陽三記念室」「萩原英雄記念室」
*ロビーのみの観覧:無料
*記念室入館:100円(小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料)

2021年初夏に「井の頭恩賜公園の井の頭池から、恐竜の骨がみつかった」という架空の設定で作品を公募した子ども向けワークショップ「ムサシノサウルス発見! 恐竜の絵を描こう!」に集まった834頭のなかから1頭をチョイスさせていただき「ハジメサウルス」と名付け、それをキービジュアルとしてを、ムサシノサウルスの住む世界を心も体も振り切った絵具遊びの場を設け、展覧会を開催!

するつもりが、
オミクロン怪獣大暴れで、zoomを使ったオンラインワークショップに変更、、

が!
それがもの凄く可能性を感じる試みとなり、
また、スゲー作品もガッツリ生まれてしまい、
吉祥寺美術館のロビーを、そして展示室をジュラシックワールドに変えてしまったのです。


このオンラインワークショップは、後ほどキチンと検証してゆきたいなと思っていますが、
まずは、2月26、27日のメインワークショップに参加のみんな、
そしてみんなセーノでデカイ絵を描いてくれた「まちの保育園」の4歳クラスのみんな、
さらに、6~7施設を繋ぎ開催となった支援施設「ふれあい武蔵野」を利用するみんな、
オメーらマジでやべえヤツらで、サイコーだったぜ!!

ほんとみんな凄いから、
集まった246点の作品、ぶっ倒れるくらい気合い入れてカッコよく展示したので、
ぜひ見に来てくださいね〜!

鬱っとした社会に風穴空けるパワーを、
実はみんな1人ひとりが持ってることに気が付ける、
めちゃくちゃ気持ち良い現場だと思うぜ!


132ヶ月め

2022 年 3 月 11 日 金曜日


今日は2011年3月11日から4,018日め、
574週
11年
132回目の11日です。

77年前に東京大空襲があった3月10日。
2022年の今はウクライナで戦争が行われていて、
引き続きコロナ禍ではあるけれど、

2018年から始まった、
渋谷区立富谷小学校に通う生徒と、子どもたちの親と、
学校と、街の人とが、力を出し合い助け合い描く、
代々木八幡ガード下壁画プロジェクト「とみがやモデル」の
一応のフィニッシュの作業を、
2022年の春に卒業する6年生との制作を行いました。


これまでに重ねてセッションは5回。

最後は2年前のコロナ蔓延が深刻化した3月。

この年の卒業生で完成させるイメージでやってきて、
しかし、子どもたちの作業は中止。

それまで子供達がのびのびと、しかしラフに描いたものが宙ぶらりんになっているのがかわいそうで、
大人のボランティアを集めて、子どもたちの描いた22メートル2面の壁面に額縁を与えるようなペイントを施しておきました。

そして2年後の3月10日。

それまでカラフルであったペイントに、
街で暮らす人たちのリズムに合った大らかなタッチを与えよう!
色彩で言えば、色んな色が混じり合ったグレーな壁にしよう!
そして、描かれる絵からなるべく意味を削り落とし、
この壁の前を歩く人にこそ意味があるような壁を目指そう!

そんなことを小学6年生に投げかけてみたら、

すごい壁面が生まれました。


ボクはこの壁画のコンセプトを、
被災した太平洋沿岸部を歩くことで得たはずです。

意味があるとすれば、人の命が不当に失われること無く、
ただそこにあること。

自分の作るものは、そうした人に対して出しゃばること無く、

ただその生を称え、意味もなく美しく存在する、

なにか得体の知れぬ力を宿したもの。

主役は人であり続ければよく、
そのためのより良い手段が見つけられるなら、自分の表現を引っ込めてもいいやって。

自分の子供が産まれ、
1年後に震災が起きて、
自分に何が出来るのかを考え続け、
ひとつは東北に足を向け、
ひとつは今暮らす街で生きることを考え、
自然と地域や学校でやれることにアプローチしていったら、
代々木八幡のガード下の22メートル×2面の壁面に、
子供たちと絵を描く必然にたどり着いた。

関わってくれた何人もの顔が思い浮かぶ壁は、
ここに色を落としていってくれた子供たちが、
将来何か困難に向き合うことがあっても、
12歳の春の日の大きな壁に思いっきり向かってゆけた記憶が、
困難の壁を乗り越える力になるものと信じているし、
自分の命が続く限り、12歳のその後を見守ってゆく約束の壁なんだと考えます。

そして、
東京都渋谷区富ヶ谷の代々木八幡周辺で出来たことは、
他の場所でも出来ることです。

そのため、この壁の名前は『作品名』では無く、
『この壁画作成に関わった人たちはオープンに語り合い最善の喜びを共有出来た』という願いを込めて、
「#とみがやモデル」と名付けました。

ある街に子どもたちが言葉の意味を超えた気持ち良さで描いた絵がある。

街の人は意味無き何か美しきものを前に、心を開き、語るべき言葉を目の前のひとりに手渡す。

自分の思う「復興」のひとつの雛形を、渋谷ローカルで形にしてありますので、
余裕があれば見にこられてみてください。

最後に、

小学6年生だって、きっちりオープンにコミュニケートしたら、
こんな感動の絵のタッチで返事をしてくれる。

そんな人の生む1つのタッチが、いとも簡単に無きものにされてしまうのが、
津波や震災というものであり、戦争というものなんだと、

あれから11年の3月11日に考えています。

そんなことを考え、ちょっと一休みしようと、近所のパン屋、ルヴァンのカフェ”ルシャレ”に入ると、
ここの壁も熱かった。

日本の天然酵母パンのトップランナーの店の壁に掲げられていた言葉、
「パンは目的ではない、手段である」

うん。

「イラストレーションは目的ではない、手段である」

よっし!
いい街に生かされているぜ、俺。

129ヶ月め

2021 年 12 月 11 日 土曜日


今日は2011年3月11日から3,928日
561週1日
10年9ヶ月
129回めの11日です。

11月から12月にかけて、
福島県奥会津エリアで5年めとなる子どもワークショップを行いました。


震災から10年を過ぎて、あらためて福島県の事業として、
今年は2017年の初年度と同じく柳津町を舞台に、
柳津町立斎藤清美術館を拠点とし、
福島県立博物館の学芸員チームが企画運営を行い、
NPO法人ドリームサポート福島が運営をサポート、
柳津町の地域おこし協力隊が現場をサポートくださり、
柳津町内の柳津小学校と西山小学校それぞれの学童保育を利用する子どもたちに、
学校や家庭では出来ないアートな体験の現場を創る企画。


事前に関わるみんなでオンライでミーティングを行い、
みなさんそれぞれが望むワークショップの姿を聞かせてもらいました。

今回は特に、柳津を愛し多くの木版画作品を制作してきた斎藤清と、
リノカットで作品世界を深めたピカソの作品を見比べられるタイミングということで、
そうした既存の作品に子どもたちをどうアプローチさせたら良いか、
多くの考えを聞かせてもらいました。


斎藤清が描いた柳津の姿は、町民だけでなく、会津だったり福島、もしくは日本の宝のようなものです。

その魅力を子どもたちに確かに手渡してゆくことは、このエリアを子どもたちの故郷としてゆくために、
欠かせない文化事業であるはずです。


ミーティングでは、過疎の進む奥会津エリアに暮らす子どもたちにも、
都会の子どもたちと同じようにアートに触れるチャンスを与えたい。
そんな考えも語られました。

これは多くの大人が納得出来るすごくわかりやすい考えだと思います。

しかし、奥会津5年めとなるボクは考えます。


奥会津に生きることは都会に暮らすことでは手にできない豊かさがあるのではないか。

奥会津に生きる子どもたちに、西洋で育まれてきたアートを「与える」ことの意味を、
ちょっと立ち止まって考えてもいいのではないか。


自然と共生した日本の原風景と言われるような環境で育った子どもたちから、
ボクはなにか新鮮なものを与えてもらえるのではないか。


過疎という環境が育み子どもたちのコミュニティの肩越しから、
日本の社会を眺めたらなにが見えるのだろうか?

もしくは、日本を超えた世界は見えてこないだろうか。


彼らの中に埋まっている色彩や線や構図に出会うことは、
大人にとって喜びにならないだろうか。

そんな大人の喜びが子どもたちに還元され、
さらに子どもたちのクリエイティビティが育つ。

そんな循環は、自然に囲まれたエリアだからこそ構築出来ないだろうか。

ピカソのリノカット作品、特別に撮影の許可をいただきました。

こんな考えの元、子どもたちの表現のアウトプットの触媒として、
優れた美術作品を「利用」するワークショップはどんな姿だろう?

「鑑賞」では無く「利用」というアートとの接し方。

よーっし、
考えがどんどん楽しくなってきたぜ。

そして、
11月に柳津と西山の子どもたちそれぞれとのセッション1。

特別に撮影許可をいただきました。

ボク「これピカソって人の絵だけどどう思う?」

子どもたち「おもしろーい!」

ボク「この変な線、これを指でなぞってみよう」「あ、ほんとに触っちゃだめだけどね」

子どもたち「うい〜ん、ぐうーーー」

ボク「きもちいいだろ〜!」

子ども「わかんなーい」

ボク「斎藤清さんの猫の絵、同じポーズできる?」

子どもたち「できるー!」「えー、できない」「はずかしい」などなど。

ボク「いや、もっと足開いてるぜ!」「あと背中位をぐっと反って」

子どもたち「こう?」「できたー!」

ボク「どう?気持ちいだろう」「じゃあ、外に出て気持ちいい絵を描こう!」

ギャラリーから出て大きな紙の上に立ち。
「さっきの猫のポーズ出来る人いるかなー?」

斎藤清はピカソの気持ちい線を体に記憶した子どもたち。
「きもちいいい!」を形にしてゆきます。

じゃあ美術館の外に出てみよう!


子どもたちは、大人になにか与えられる前に、
子どもたち同士のコミュニケーションのもと、
柳津の「たのしい」をどんどんと見つけてゆきます。

柳津は4年前に同様のセッションを行ったことで、
耕された土壌というのがあるのだろうか?

4年前は手強く感じた『子どもたちコミュニティ内で設定されてしまう1人ひとりのキャラ』が、
今回はスムースに解けて、1人ひとりそれぞれのペースで、絵の具遊びを楽しんでくれたイメージ。


それに対して、今回初めましてで、より少人数で学校生活を送る西山の子どもたちは、
ボクが話始めると、スッと静かになって話を聞いてくれたりする良い子たちなんだけど、

美術作品を見て同じポーズやろうなんて投げかけに、やはりスッとアプローチしようとするも、
周りを見渡し、1人が突出することをためらう。
もしくは、
「これ誰やる?」に対して、子どもたち一斉に「〇〇くん!」と指を指す。

なるほど、子どもたち1人ひとりを見てゆくと、
みんなそれぞれ「私はこういう人だから」と語れてしまうキャラが設定されているみたい。

それは1年生から6年生まで20名くらいのコミュニティを、
日常の中でスムースに回してゆくための子どもたちの知恵であって、
外から来たボクが簡単に否定してはいけないもの。

なんだけど、彼らが成長し順々と社会に出て行く先で、
奥会津で設定したキャラは、簡単に踏みにじられてしまう可能性があり、
またそこでキャラを再設定するのか、もしかしたら折れてしまうこともあるかもしれない。

だから、今本当の「楽しい」に1人ひとりが触れておいてもらいたい。

斎藤清という人は木を彫る「楽しい」の経験が、
ピカソは面白い線を一本描く「楽しい」の経験が、
自分というものに命を与え、今一枚の絵としてみんなの前で息をしている。

この子どもたちはみんな芸術家になるわけではないはずだけど、
しかし、本当の自分が触れた「楽しい」は、人ひとりを生かすしなやかに強い力になるはず。

よーっし。
セッション2の目標が明快になった。

そして、
柳津の子どもたちは、より自分を加速させてくれました。

目に見える目の前の風景を、体が気持ち良いと感じる線で描く。
自分の気持ちが喜び続ける色で塗りあげる。

そんなテーマを投げた直後、柳津にデカイ虹がかかったものだから、
あとはもう子どもたちが勝手に自由に向かって駆けて行った時間。


西山では、まずはボクが気持ち良いと思うことを語り、
大きな紙に描くのも、小さな紙に描くのも、
それぞれめちゃくちゃ気持ち良い一本の線というものがあるってことを見せたら、
徐々に、徐々に、一本の糸をほどいてゆくように、子どもたちのキャラが剥がれ、
1人ひとりの「気持ちいい」が画面に現れるようになり、
ある瞬間、1人の女の子がなにかを突き破るように体全身を使って絵を描き始めると、
「気持ちいい」は波紋となり、子どもたち1人ひとりに伝わってゆきました。


そうしてあらためて子どもたち1人ひとりを見てゆくと、
コミュニケーションモンスターのような活発な女の子が、
実は可愛い絵を大切に描く子だったり、
お笑い担当でみんなから指名される上級生男子が、
実はめちゃくちゃ淡い色を繊細に重ねる子だったり、
現場をブレークスルーに導いた女の子は、
普段は目立つことは一切やらない子だったり。


いわゆる聞かん坊な男の子は、
実は見事な統率者として、色面を楽し過ぎる色水遊びの現場に育てたりね。

それでも、上級生グループが一塊りでみんなに背を向けて、
学校の美術的な絵を描いちゃっていたりもしたけど、
ここまでみんなの心を耕しておけたら、

4年前と今の柳津小学校の子どもたちが変化したのと同じく、
この先は子ども同士でブレークスルーのチャンスを見つけてゆくんだと思います。

しかし、すごい絵が生まれたぞ!

西山ってこんな緑色が美しい場所だって。


大人が語る子どもの個性ってなんだろうね?


ちなみに、この記事のトップに掲載したのは、
ボクが描いた柳津のセイタカアワダチソウ。

柳津は光がとても綺麗な土地で、
子どもたちは光の美しさの中で育っているのだろう。
淡く繊細な色を使う意味は、その辺にあるのかもね。


このワークショップの作品は、
2月から斎藤清美術館のアトリエで展示予定。
ボクも設営に立会い、子どもたちの作ったものがよりかっこ良く輝くよう、
がんばりますね〜!

みんなー
また元気で会おう!

奥会津から東京に戻り、東京駅を出ると丸の内はギラギラだった。

丸の内の街をアートで盛り上げるって企画だそうだけど、
この予算の1パーセントでも奥会津に投入出来たら、
日本はもっと楽しく良い国になりますよ。

128ヶ月め

2021 年 11 月 11 日 木曜日

今日は2011年3月11日より3,898日
10年8ヶ月
556週6日
128回めの11日です。

今回で5年めとなる福島県奥会津エリアでの子どもワークセッションが、
来週より始まります。

今回は2017年の初回と同じく柳津町の子どもたちと、
地元を描き続けた版画家、斎藤清さんの作品を通し地域の魅力を再発見しよう!
という大人向けのテーマを掲げつつ、

どんな山間のエリアでも、ネットで情報が共有出来てしまっている今、
ローカルに生きる子どもたちに何かを与えるというより、
彼らの中にあるものを共有することから始め、
思いがけないものに出会えたら思いっきり驚いてみたい!

そんなセッションにするつもりです。

しかも、今回は同じ町内でも生活エリアに隔たりのある柳津小学校と西山小学校、
それぞれの学童保育を利用する子どもたちに、それぞれのエリアならでは発想を持って臨みます。
!)これは学校単位の企画なので、一般の募集はありません。。


主催者の福島県、共催の町立斎藤清美術館、企画運営の県立博物館学芸員チーム、
お手伝い下さる地域おこし協力隊のみなさん、サポート下さる法人との企画会議では、
まずは「山間のエリアに暮らす子どもたちにもアートを与えたい」という考えが示され、
そこから発想されるワークショップ案を提示されるのだけど、
前述の通り、
まずは山間に暮らす子どもたちが何者なのかを知るのが先では無いかなと。

「多様性」というワードが発想のスタートラインにしっかりと記されている今、
奥会津というとても貴重な土地に暮らす子どもたちに、
都会で暮らす子どもたちは当たり前に手にしているであろう価値を、
都会の子どもたちと同じく与えてあげたい、そんな考えの前にやっておくべきことがある。

もしくは、そうしたことは学校というシステムで行なった方がスムースであり、
ボクのような個人が行う必然はないんじゃないかな?とかね。

そもそも、柳津と西山とでも違いがあって、それが面白い!

みなさんが真面目に考えてきてくださった案を、申し訳ないのだがひっくり返し、
発想の荒野にみんなで立って、子どもたちにとって今必要なものはなんだろうか?
それはそのまま、私たちにとって必要なものはなんだろうか?という投げかけとともに
考えてゆきました。

この企画と並行したタイミングで、いくつかの子どもたちとの企画が動いていて、
そこでも変わらず、
東京でイラストレーターやっているボクのような者が地方の子どもたちになにか素敵なものを与える、
そんな考えをひっくり返して考えてもらうことから始め、
子どもたちが何者なのか、何を必要としているのかを、アートの力を使って知ってみよう。
何かを与える、もしくは共有するのはそれからでいいんじゃないか。
それはそのまま、そこに暮らす大人たちが何を必要としているのかの気づきの現場とはならないだろうか?
そんなことを語り続けています。


「震災から10年」というワードの魔法が間も無く切れる今。

しかし、今からやらねばならぬことばかりです。

ボクが向き合う大人は、子どもたちのことを真摯に考えている素晴らしい方ばかりです。
ボクは彼らが愛す子どもたちと共に、そんな1人ひとりの大人の心もオープンに解き放たれる、
そんな必要があると考えています。

柳津セッションのフライヤーデザインは今回も江畑さん。
彼女もまた地域おこし協力隊として会津に入り、
このプロジェクトに5年に渡り関わり続けてくれてます。

とてもセンス良い人で、
最初の頃はとても繊細で綺麗なデザインを投下してくれていたのが、
ボクが毎回ガチで子どもたちと絵の具遊びしている姿に慣れたのか、
今回はとてもタフで美しいデザインにしてくれ、
このフライヤーを手渡された学校の先生からも「綺麗!」と歓声が上がったとのこと。

なんつーか、彼女の生きる免疫力も高まったような5年。
こういうことが日本中で起きたらいいなと、
次の10年はそんな10年であればと願っています。


この秋何が生まれるのか、
楽しい報告が出来るようがんばりますね〜〜!