その辺に咲いていた


会期を2日間延ばして
ルヴァンのルシャレで展示させてもらった
その辺に咲いていた花の絵展
昨日の夕方に撤収してまいりました

会期中足を運んで下さったみなさん
ありがとうございました

そして
まさに身を粉にしてパンを作り展覧会を支えて下さった
ルヴァンとルシャレのスタッフのみなさん

ありがとうございました


はあ〜、
26年の間こんなことを続けてきて
撤収作業がこんなに切なく思う展覧会は初めてだぜ、、

そしてやっぱり初めて
街と場所と人とちょうど良い距離の間に
ボクの描いたモノを置けたんだって実感

それが26年の間で最も小さな空間で出来たってことは
それは26年の間でボクが創ってきたものの身の丈なんだろう

それもこれも
ルヴァンという26年の積み重ねた時に
思いっきり甘えさせてもらった結果ではあるわけで

1984に絵を描き始めたボクは
1984にパンを作り始めた店に負けぬよう
誠実な仕事をこれからも続けてゆかなければだ

改めて
2010の春の始まりの時に
この店と一緒の時を創れた意味
たっぷりの厳しさを抱えながら有り難く感じます

そんな店で14日の日曜日の夕方に
マウントシュガーの5つの唄

個人的な話になるけれど

去年の1月
マウントシュガーのアリサからメール

共通の知人
ボクにとっては戦友のような男の
末期癌での闘病を知らされる

「自分のやるべきことの精一杯をやっておくしかねえな」と
思いついたのが花の絵を描くこと

その辺に咲いている花
その“なんでもなさ”に一切の意味を込めず
ただ描く作業

去年は多くの人がポコポコ亡くなった年であり
ボクの部屋に花の絵が増えて行った年であり
明けて2010の春先になんでもない展覧会を創った

そこでマウントシュガーに唄ってもらった

この日の唄をさらに実のあるのもにしていってくれよ〜
出会って10年のマウントのふたりぃー

そして夜は
ルヴァンで5年ちょっと働いてきたBさんの送別会

ヒトリがやりつくした後の乾杯は
温かさと熱さとのちょうど真ん中くらいの熱を保ち
初めましての人も包み込んでしまう祭りの時へ

働くという強烈な芯があるからこそ
自由が踊り出すね

そして

この店で働く人たちの生きてきた時を頂いたようなメシ

当たり前に旨いってことに圧倒されたメシ

(パンの刺身だって!)

旨いパンをこさえる人たちが
当たり前に知っているメチャクチャ勢いのある旨いメシ

夢を見るのが難しくなってしまった時代にあって
ボクらがやらねばならないことは
旨いパンを1コ作ることなんじゃないかな

つくづく
ボクはとんでも無い場所にお世話になってしまったのだ

そしてBさんの5年ちょっとに対して
ううじんが唄う

やっぱり今日もパンを焼きます
豪華なものは何も無いけど美味しいパンを
無理しないで
でも精一杯の情熱で

数時間後には仕込みを始めなければならない
無理に無理を重ねるパン屋の皆さんの
温かいのと熱いののちょうど真ん中くらいの涙を
愛燦々とあびてパーティーも終わり


ありがとう
おつかれさま
また明日
あと4時間後には起きなきゃだ
などなど

ボクは心から
ごちそうさまでした


搬出の前夜
別の友人の死の報を受けました

そのどうしようもない事実に
ボクもこの店のパン1コに負けぬ絵を描いてゆかねばと
心に練り込んだのです

そして
その辺に咲いていた花も散ったルシャレでは
次の花の芽が
もはや萌え始めていました

2010
0316
PEACE!!
for M & S

コメント / トラックバック 6 件

  1. Monica より:

    ずーっとあってもいいくらいそこにあるのが当たり前になっていた展示でした。
    あの春めいた陽気のお天気のいい午前中。
    おいしいパンと人とがつながる。
    私にとっても最高のシチュエーションがおきましたよ!
    ありがとうございました。

  2. やまぐちめぐみ より:

    こんなにたくさんのことが含まれていたとは全く知らなくて。
    伺えてよかったです。

    アミイゴさんこれからも
    菜の花の茎みたいに太くたくましく!

  3. amigos より:

    >Monicaさん。
    どれくらいその辺のものでいられるか
    その辺のものこそ美しいものであるか
    その2つをカタチに出来た展覧会は
    場所や人の力に助けられたものでもありました

  4. amigos より:

    >やまぐちめぐみさん。
    結局理由なんてすべて後付けなのかも
    それより絵を描くという衝動に従順であろうと願った
    一年の先に咲いた花どもであったと思います
    ご来場ありがとう

  5. saography++ より:

    度々しつれいします。

    ううじんさんの歌、あの日聴けなかったから、
    今、聴いています。
    (ううじんさんや、mueさん、元々好きなアーティストさんでした。)
    アミーゴさんの言葉もすごく好きです。
    このエントリーをもう一度読んで、なんともいえない気持ちに
    なってしまったのでした。
    ありがとうございます。

  6. >saography++さん。
    とても個人的なことで締めくくってしまった展覧会ですね、、

    しかし
    思うのは
    その辺で生きている人たちの集まりでしかないはずの世界が
    つまらない価値観でねじ曲げられ過ぎていること
    それに抗うには
    やはりその辺で生きているというリアリズムしか無いのではないか
    そう確信めいて感じ始めることが出来た2010

    それはやっぱ
    狂気のような誠実さで作られるパン1コに教えられたことでもあります

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