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絵本「はるのひ」日本絵本賞受賞

2022 年 5 月 23 日 月曜日


2021年2月に発表した絵本「はるのひ」が、
2022年5月、第27回日本絵本賞を受賞しました。

父が亡くなった2018年の春の日から、3年の制作期間で生まれた1冊。

絵本はボクひとりで作れるものでは無く、この1冊は特に、編集担当のTさんの27歳から30歳までの青春の一冊と言っても良いくらい、莫大なエネルギーを注いでくださったことで、生まれたものです。

また、ブックデザインの城所 潤さん、舘林三恵さんから頂いたアイデアにより、より美しい本として、この物語を必要とされる方へ届けることができます。

さらに、たいていの印刷屋さんが顔をしかめるボクの”印刷しずらい絵”に真っ向立ち向かってくれ、発刊直後に「特にp30〜31の見開きで震え上がれ」とTwitterでつぶやいてくださった、東京印書館様のサイコーの印刷無くしてこの本は語れません。

この賞はそんなみなさんに対してのものだと考えています。


森の向こうに煙をみつけた”ことくん”が、走って煙を見にゆくだけの物語ですが、
その舞台の参考にしているのは、ボクがこれまでお世話になってきた土地です。

まず、生まれ故郷の群馬県南部、赤城山の麓の田園風景。
おばあちゃんの家の田んぼや畑で遊んだ経験と共に、1970年あたりを境に徐々に失われていった里山の美しさなんてものも、思い出しながら筆を走らせました。

そして、子どもたちとのワークショップセッションを重ねて5年目となる、福島県奥会津エリアの柳津町や昭和村の風景や光、土地の高低差の面白さ。
なにより元気な子どもたちの姿!
彼らがこの絵本を好きだと思ってくれたら、それが一番うれしい!

もしくは、やはりワークショップでお世話になっている、喜多方市で完全有機農法を実践する大江ファームの、夕日に溶けてゆく美しい畑。

夕日と言えば、東北の太平洋沿岸部で出会ってきた色彩。
この絵本は山間の物語だけど、海沿いの町で見た色彩を盛り込むことで、「どこか知らないけどステキな場所」の演出が出来たはずです。

物語の大切な装置となる森は、大分県杵築市山香町の森の中でカテリイナ古楽器研究所を営み、ものづくりと音楽と反農の暮らしを実践する松本家とのお付き合いから、体を持って覚えた喜びを絵にしています。

さらには、2016年の初夏に花の絵の展覧会を開催させてもらった、栃木県那須塩原市黒磯のSHOZO COFFEE。
展覧会を前にした2月と3月に、SHOZOに宿泊しスタッフとワークショップしたり、那須野の山を自分の足で走って感じた土地や人との距離感。

やはり展覧会を開催させてもらった熊本県津奈木町の”つなぎ美術館”
そのきっかけとなったアートプロジェクト”赤崎水曜日美術館”に関わったことで得た、土地と人との関係性。これはその対岸、天草でも経験させてもらいました。

色彩に決定的な力を与えてくれたのは、2019年の夏に3週間かけて取材旅をした台三線エリアの濃厚な風景。
それ以上に、そこに暮らす客家の皆さんから与えていただいた人情が、色に強さと優しさを与えてくれています。

ボクが当初考えた絵本のタイトルは「とーちゃん おーい」で、
主人公の名前は「ととくん」でした。

「おーい」の原風景は、カミさんの九州の実家のお父さんが、2歳の息子に向かって「おーい」と声をかけて遊んでくれていた風景。

自分は父親とそんな経験あっただろうか?と記憶を辿るも、1枚の写真に辿り着けただけだったけど、それでもなんて安心感のある風景なんだろと、自分が家族を取り戻したような気持ちで見ていました。

その後作画を担当する絵本「とうだい」でも印象的に使われていた「おーい」という言葉。
嵐の中で灯台が光と共に叫ぶ「おーい あらしにまけるな とうだいはここにいるぞ 」という声!
それに答え「トットットット」とエンジンをふかし舵を切る小さな船。

斉藤 倫さんの物語に、ボクこそ見守られていたように思います。

そして、「おーい」という言葉に向かって「とっとっとっと」と近づいてゆく子どもの風景を想像すると、逆に「おーい」という安心感に背中を押され「とっとっとっと」と駆けてゆく子どもを想像。

震災後、多くの言葉を駆使して相手の言葉に蓋をするような事がネット上で見られるも、被災地と呼ばれる場所では、そんなもの何も役に立たないでいるのを知ったボクは、子どもたちに「おーい」とただただ大らかな声をかけられる「とーちゃん」でありたいと願いました。

そう願うことで、「おーい」と大らかな声で語れる人にたくさん出会えたはずで、その声はこだまして、さらに次の大らかなる人の発見に繋がってゆきした。

そうすることで、ボクもボクの家族も生かされてきたような10年ちょっとの歳月。

残念ながらこの本が完成する前に亡くなってしまった方もいます。
しかし、大切なことはこの物語の背景に塗り込んであります。

今回頂いた賞が、そんな1人ひとりをこの物語と共に生かし続ける裏付けになってくれたらいいなと、
心より願っております。

2022年5月
小池アミイゴ

追記。
代々木あたりのみなさまへ。

「はるのひ」小さすぎる原画展
2022年5月26日(木)~6月5日(日)
at 渋谷区富ヶ谷2丁目のパン屋”ルヴァン”のカフェ”ルシャレ”
〒151-0063 東京都渋谷区富ケ谷2丁目43−13 GSハイム代々木八幡

へっぽこな自分を生かしてくれている代々木の街みなさまへ。
みなさまの支えがあってこそ作れた絵本が、なにやら立派な賞をいただきました。

つきましては、みなさまが愛してやまない街の誇りとも言える場所で、小さな原画展を開催させていただきたく存じます。

通常は店休日である月曜日、5月30日は1日書店として「はるのひ」限定20冊の販売をします。

11時から17時くらいまで、ボクが店内でうだうだしていますので、茶などご注文の上、お声かけいただけましたら、絵本の背景に塗り込んだお話などさせていただきますね。

小さな店ですので、おひとり、おひとり、バラバラとお運びいただけたら幸い。

小さくとも風通しの良い会話の現場になればいいなと願っております。

!)この日以外は人気店ゆえ、
いわゆる一般のお客様で入店出来ない可能性があります。
わざわざお越しになられるようであれば、ボクにご一報くださいませ。

2年目の「はるのひ」

2022 年 2 月 21 日 月曜日

2021年2月に発表になった絵本「はるのひ」
2022年の春が近づくにつれ、この絵本を話題にしてくださる方が増えています。

良い絵本は、子どもに、そしてそれを見守る家族に育てられ、
次の世代へと手渡されてゆくものと考えています。

この絵本の2年目が、出会う人との幸せな時を紡いでまいりますよう、
作者のボクは静かに熱く見守ってゆこうと思います。

『はるのひ』作/絵 小池アミイゴ
徳間書店刊:本体1,600円(税別)
ISBN 9784198651602 本文・カバーデザイン:城所潤・舘林三恵
編集:高尾健士
印刷:株式会社東京印書館

四日市のメリーゴーランドで「はるのひ」原画展開催

2021 年 8 月 3 日 火曜日

三重県四日市の子どもの本の専門店”メリーゴーランド“で、
絵本「はるのひ」の原画展を開催します。

初日8月11日には「だれにでも描ける似顔絵ワークショップ」開催。

コロナ感染に気をつけたやり方で、
しかし、めちゃくちゃ楽しいやり方でやりますので、
夏の思い出に、ぜひ!


良い絵本!