134ヶ月め


今日は2011年3月11日から4,079日、
582週5日
11年2ヶ月
134回めの11日です。

今年のゴールデンウィークは、PCR検査をした上で東北へ。

昨年から秋田市から北に20kmの井川町の桜まつりで、
子供たち向けの絵を描くワークショップを開催しました。


井川町のアイデンティティ、桜の名所”井川国花苑”を中心とした地域ブランディング、

井川町に暮らす架空の「いかわさくら」というキャラクターが井川町を紹介して行くサイト、
いかわさんといっしょ” のビジュアルを担当したことでご縁をいただいた町に対して、
ギャラの一部を子どものために還元するという意味や、
イラストレーションだけじゃなくて、絵を使った喜びをもっと知ってもらえたら、
これからさらに濃密なお付き合いが出来るのではないかと考え、
総合プロデューサーの成田洋一さんに「勝手にゆくよー!」と提案した次第。


結果、行ってよかった〜!な子どもたちとの出会い。
さらには、子どもたちを見守る親御さんたちとの語らいは、
井川町での次のアクションにつなげてゆけたらいいな。

ちなみに、
昨年HPや町を紹介する絵本に使った絵は、
町が買い上げる形で、今後も色々なメディアに載せてゆくことになっています。

その1つ1つのクオリティを、成田さんやボクなど、関わるみんなで見てゆくことで、
町にとって効果的な使われ方を担保してゆこうという作戦。

継続的な街づくりに緩やかに紐ついていられる、絵があるからこその関係性。
他の土地でもやって行けたらいいなと思っています。


しかし、春の秋田はのどかだな〜

井川町では、そののどかな風景を表現するために、
HPに反映させた絵のほとんどは和紙に水彩絵の具で描いたのだけど、
これは、他の土地では違ってくるのだろうなと。

今会っておくべき人いるので、
秋田から岩手県の太平洋沿岸部を目指しました。


新幹線が岩手に入ると、やはり空気が変わる印象。

盛岡では、新幹線から山田線の乗り換え時間があったので、
ちょっと街を歩いてみました。

以前、真冬に歩いた北上川沿いの遊歩道。
対岸に作られたカフェスタンドを利用する人たちの穏やかな姿。

震災直後の緊迫した風景から11年。
この風景もこれからの自分の基本とのひとつとして、
発想を進めてゆこうと思いました。


そして山田線で太平洋岸の宮古まで。

大概はバス移動なんだけど、
10年前の真冬に乗ってからの二度目ましての山田線。


秋田より険しさを感じる景観の中、約100kmの旅。
思うのは、この地に鉄道を轢いた人たちの執念だったり苦労。

が、真冬の時と違い、自然と向き合う喜びもあったんだろうなという気づきの春です。

去年の6月ぶりの宮古の街では、震災直後には想像できなかったデザインに出会いました。


このパン屋、うまそううだな〜!

とか、

ここで何が起きているんだろう?
という楽しい想像とか。


大津波を被害が撮影された旧市庁舎は取り壊され、
インクルーシブな遊具の並ぶ公園になり、子どもたちの歓声がこだましてたり。

震災から10年経って、コンクリートの復興から、
デザインやイラストレーションてものが活躍する復興にシフトしなければと語ってきましたが、
やはり同じ考えの人がいてくれたことがうれしい。

さらに人の救いになるような質の高いデザインを被災エリアに投下してゆくことで、
被災地と呼ばれる土地が、ある意味日本の最先端エリアとなればいいなと思うのだが。

まあ、自分でやれることを重ねてゆくしかないね。


宮古のフィールドワークは、10年前の真冬と同じコースを、やはり徒歩で。


もはや当たり前の風景になった、漁港をグルッと巡る巨大防潮堤。

この「当たり前」からなにか美しきものが見つけられるか?
ともかく歩いて。歩いてい。


海の景観が失われることに対して開けられた窓。
海側から見る風景に「復興とはなんだろう?」とあらためて考える。


景勝地「浄土ヶ浜」に向かう道を逸れ、トレッキングコースへ。

岩手には岩手ならではの光と色彩が演出する美しさがあるね〜

これまでボクは「なぜ人はこんなに厳しい環境の土地で生きようとしたのか?」という想像で、
三陸のリアスの地のことを考えてきたのだけど、
これからは「こんなに豊かな土地を見つけた人の喜び」なんてことも考えてみなくちゃだね!

そして浄土ヶ浜。

10年前は息を止めるようだと思った風景には、ゴールデンウィークの人が溢れ、
自分の凍てつく記憶も、溶けて消えそうな感じさえする。


これからは、朗らかにさえ思えるこんな風景を描くべきなんだろうと思い、
来た道を戻る。

10年前の冬は、持っていたペットボトルのお茶がシャーベットになっていたなあ〜。

来た道を戻ると先ほどの防潮堤のエリア。

震災後の瓦礫の土地を背に見た、漁港を包む柔らかな光が忘れられず、
防潮堤の向こうへ。


ああ、やっぱりこの光だ。

10年前の真冬はもっと違う色をしていたけれど、
この柔らかさ、優しさ。

自然に人が調和して生きているからこその凪な光。

土地の人がきっと「何も無い」と語るであろう風景に向き合い、
ただただ灰色のグラデーションの変化を追い続けた数十分の時。


人が生かされる風景、もしくは色彩って、
こんな風に曖昧で絶えず変化するようなものなんだろう。

そんな10年たっても変わらぬ実感と、
10年分確かになった言語。

まずは絵にしなくちゃだ。


次の日は朝早くから、三陸鉄道北リアス線で大船渡を目指す。


大船渡には、東京の青山のカフェで働いていたSさんが、
地域の力になりたいって、1月からUターンしている。


彼女が語る故郷や家族への愛。

それは、そんな人が1人いるだけで、その地域には希望が生まれるんだろうという想像に繋がり、
今このタイミングで会っておきたかったのです。


実にぼんやりとした日常の場所を、ただただ歩きながら今の心情を交換。

昨年6月に初めて行って歩き倒した大船渡だけど、
それでもぼんやりとしかわからなかった街の魅力ってものが、
ぼんやり散歩で明快なフォルムを見せてくるのだから、
人って面白いなあ〜!


震災直後は受験生だった彼女が、学習机代りに使ったという図書館。

その立派さに、土地の人々が子どもたちに託した未来というものを感じた。

漁業から工場の街へと変わっていった町が、本当に大切にしたもの。
震災もコロナも超えて、ボクの知る限りは彼女ひとりだけど、
帰ってきたんだね〜

そんな「大船渡のおかえりモネ」さんが、もう1人のおかえりモネさんを紹介してくれた。

なにやら迫力ある空間。

人と空間に出会い、即ワルダクミ発令。

この場所で交わした言葉、今人に必要とされる表現についてなど、
間違いなく東京の発想のトラック4分3分周先を走っているはず。

出会ったからには形にしなければ!
ということで、大船渡、またねー!

の前に、盛駅で友人と待ち合わせ。

駅の待合室で、生きること、人との共生、コミュニティ創りなどなど、
2時間語り合った狂気の人々。

愛しすぎるぜ。

Sさん、まずは元気で!

そして気仙沼。


ゴールデンウィークは3年ぶりに人で賑わったと。

ということは、整備された港湾部では震災後初なイメージなのかもね。


ボクが泊まったホテルは、津波被害が激しかったところで、
そんな場所で眠れることに驚きと喜びと、ちょっとの怖さとを感じつつ、
夜の早い気仙沼で、晩飯難民になり、夜の気仙沼を駆けたのでした。


次の日は海産物の販売のされ方をリサーチし、

マグロの競りも眺め。

「マグロ、この一本にかけた」って高笑いの人たちの姿に、
やっぱ漁師最強だぜ!と思い。

唐桑へ。
いつもお世話になっている”家族カフェ” プランタンへ。

しっかし初夏の唐桑も、美しいね〜!

何度か訪れた、太平洋に突き出た細長く小さな半島なんだが、
「ここに住みたい!」と思った人たちの気持ちが、今回一番感じられたかも。

海からの急斜面、そこに点在する集落、それを縫うようにし走る曲がりくねった道、
豊かな木々のシルエットなどなどが構成する構図の向こうに、太平洋。
やませが運んでくる深い海霧が神秘さを演出している。

そして目を足下に転ずると花。

名も無き花が、草刈りのついでに刈り取られることなく咲いている。


大自然に、人の手の入った小さな自然が含まれる優しさ、安心感。


このなんでも無い美しさは、
この土地を愛している人々が守っているからこその景観。


現在「みちのく潮風トレイル」だったり、
宮城オルレ」のコースに選ばれていること、
わかる〜!

なんつーか、歩いているだけで幸せになれる、なんなら健康にもなってしまう。

これまでの「思い出獲得型」のレジャーでは無く、
自分の中での「幸せ自己発電型」レジャーという未来が、ここにはあるなあ〜。

で、あらためてプランタンへ。
https://www.instagram.com/printemps_non.no/


細々と家族で出来ることをやっているって語るノリちゃん。
実はすごいことやっているんだと思うぜ!

ご家族で取り組む精一杯は、
間違いの無い一杯。

土地へも人へも愛を感じる一杯のうどん。

この一杯のために唐桑に行く者はいる。

いや美味かった〜!


自分が商品開発でお手伝いした逸品。

マスターにどうですか?と尋ねると、
「お陰様でけっこう出ました」との笑顔の一言。

自分の手がけた仕事、
それがどんなに小さなものでも、
そこに確かな人間関係があれば、
1200kmの移動も厭わず確認しに行く。

こんな仕事や生き方を学んだ、
東京と地続きの東北という場所。

またね〜!


peace!!

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