フリーランスの契約課題アイデアソン
4月2日に参加した『フリーランスでの働き方や契約』に関するアイデアソンがとても面白かったので、
備忘録。
連合が主催で、紀尾井町戦略研究所株式会社が事務局を務めて運営。
政治的背景の無い場で、フリーランスの働き方についてポジティブなアイデアを導き出す方法に共感。
ボクは、復興庁に出向し震災復興に尽力された方からお誘いを受けての参加です。
ボクは東京イラストレーターズ・ソサエティの副理事長に就いた4年前から、
イラストレーターにまつわる問題解決のディスカッションを密に重ねてきました。
今回、イラストレーターという枠組みから踏み出し、
他業種の方々と『フリーランスで働く』ことについて情報共有とディカッションしたことで、
視界が大きく広がったイメージがあります。
アイデアソンの冒頭、3業種の方から事例報告。
・声優でナレーターの方。
30分番組のアニメーション/1クルー_3ヶ月/13本のアフレコ収録の場合、
声優は毎週、たとえば水曜日の7時間ほどを6ヶ月拘束される。
アニメーション1本で駆け出しの声優のギャラは15,000円に設定されていている。
作品が再放送されると×1.8の計算で27,000円が支払われる。
毎年個人ランクの更新があり、1,000円刻みでアップされるが、
ほとんどの声優が18,000円ほどで上げ止まりになる。
さらに、現場では「18,000 円は高い」と言われてしまう。
主役級の声優は、毎回アフレコの仕事があるが、
脇役は13本のうち数本だけの場合が多く、
ひとつのアニメーションの仕事でギャラは10万円ほどにしかならない。
こうしたことは日本俳優連合が過去に規定にしたもので、
個人事業主である声優がクライアントと契約書を交わすことは無い。
○これらの発言は記事になっています。
https://www.j-cast.com/2022/03/02432205.html?p=all
声優さんは雇用不安で問題提起出来ない。
飲み会レベルでは愚痴は出るが…
このシステムに異を唱えた声優さんがいたが干されてしまったこともある。
声優さんは、ヒット作周辺のプロモーションや歌唱で稼ぐことは出来る。
それに惹きつけられ人気職業の上位にも上がる声優だが、
その華やかな風景で見えなくなっている働き方というものがある。
・デザイナーさんが経験した無断転用と裁判の話。
勤務7年、フリー3年、法人化11年。デザイナー団体には未参加。
グラフやマップ作成を得意とされるデザイナーさんのフリーランス時代。
ある本に提供した大量のデザイン、その1点1点の単価は安いが、
それをそのまま別の本に、色や細部を変えただけで無断で使われてしまった件。
これまで10年ほど付き合いのあった出版社との慣例で、
契約を交わすことなく進めた仕事でのトラブルということで、弁護士に相談。
訴訟では記憶や請求書、メールなどを検証。
二次仕様に関する取り決めが無いことを確認。
これらにより裁判で勝利できた。
=解決方法=
意思表示=文章を残す
有利な契約を結ぶ
慎重にメールを送る
正確な見積と請求書の作成
特にメールは記録として残る可能性があるので大切にする。
そもそも、こうした契約を結ぶ慣例が無いこと。
ギャラ交渉や契約書を交わすし辛い空気があることに問題を感じる。
・オンラインマッチングプラットフォームの提供するキッズラインの法務担当者。
保育、家事代行、家庭教師のサポート会社で、ユーザー数、195,000人
ユーザー(保育など受ける人 ) と サポーター(保育などを提供する人) の間の契約代行。
決算はそれぞれ手数料10%(ユーザーの短期契約は20%)
これらの契約はオンライン上のプラットフォームで簡潔に行うことが出来る。
また、
トラブルが発生した際の詳細な解決法(違約金の発生など)を提示、トラブルの即時解決に務める。
目的が、フリーランスの人が安全に働けること、
ユーザーが安心してサービスを受けられることと、明快である。
++
以上の事例を報告を受けた後、少人数グループに分かれての
『フリーランスの働き方は契約に関するアイデアソン』スタート。
ボクは、前出のデザイナーさん、ウエッブデザイナーさん(ウーバー経験者)、画家(イラストレーションの依頼も受ける)のお三方とブレスト。
○アイデアソンを簡単に説明。
・間違っていてもいいから思いつくアイデアを出せるだけ出す。
・その中から優先されるものを選び、それに対してさらにアイデアを出し合う。
・持論に固執することなく、相手の言い負かすことを目的にしない。
・完成形の答えを求めず、しかし、みんなで向かってゆける問題解決のターゲットを共有する。
これは自分がずっと続けてきた現場の作り方で、イラストレーターズ協会には徐々に投下中。
イラストレーターの人数だけある働き方の問題を解決するために、
持論を通す決定方法は多様性に対応できず。
まずは個人事業主であるイラストレーター1人ひとりが並列で置かれた場所で、
それぞれの問題がオープンいシェアされる状況を作らねば、だな〜。
逆説的な話になるけど、オープンな意見交換を目指したミーティングの後、
参加者から個別に意見メールを受けることがあるけど、
それが解に繋がることは無いのだよね。
で、自分が参加したチームは、
『フリーランスの仕事と契約のあり方の矛盾の解消』みたいテーマを選択。
ファシリテーターの原 亮さんのミーティングの「設計」と「進行」が素晴らしく、
参加者みなさんオープンに言葉を発し、仕事の契約上の大量の問題を一気に共有出来ました。
その中でみなさんが一番うなずた印象の「ギャラや契約について語りづらい状況がある」
ということに対し、解決に至るアイデアをさらに出し合いました。
結果、
『未来の理想的な仕事のあり方』などというワードが飛び出し、
・「発注」「受注」が縦関係に見えるのを、なんとか同じフィールドに並列させて置く。
・「報酬」は「対価」であるという考えの周知。
などという必要が語られる。
が、
そういうことこそ「仕事をくれる」人に言いづらいなあ~~、、
ならば発想は飛躍。
業種を超えたフリーランスが集い問題共有出来るプラットフォームを構築し、
「フリーランスから見た理想の仕事」をフリーランスが褒める
『こんな仕事創ってくれてありがとう!大賞』を創設。
年1でクライアントやその仕事にまつわる人たちを表彰するとともに、
毎年フリーランスの仕事のあり方を検証する機会にする。
パワーワードとしては、
『フリーランスが向上させる企業イメージ』なんて壮大なところまで行き着きました。
目指すのは、フリーランスで働く者とクライアントと1案件の関係性で終わるで無く、
「その仕事を持続可能なものとすること」も作業に内包させたパートナーとして、
未来方向に共に走ってゆくこと。
そんな仕事のあり方が構築出来たら、お互い契約の話をするのも当たり前になるだろう。
実現には時間かかるかもしれないけど、実現したらいいな。
ちなみに、
連合はウエッブ上で展開しているフリーランスの問題解決プラットフォーム
Wor-Q (ワーク)を展開していますのでのぞいてみてください。
https://jtuc-network-support.com
+
で、他の3チームは、
・契約の前に約款を置くことで、小額のギャランティの仕事の権利を守る。
「約款」とは、たとえばホテルに泊まる時もオンラインでなにか購入する際も、
問題が起きた場合の解決の基準となるルール。
こうしたものを、オンライン上で「使えるもの」にするアイデア。
・フリーランスで働く人の諸問題に対し、AIを活用した問題解決を図るスステム構築。
これは若い学生さんグループが提案。若くてキレッキレのみな、楽しみだ~
・契約のカジュアル化。
紙やハンコを使わず、オンライン上で素早くアプローチ出来、管理はAIが行う。
こうしたことのいくつかは東京イラストレーターズ・ソサエティでも実装をするべきではないかと。
今後もこの企画は今後「ハッカソン」「とりまとめのミーティング」「発表会」と続くので、
自分も責任ある立場として脳みそ揉みほぐしに出来るだけ参加してみるつもり。
こんな取り組みを重ね、みんなの働く足場を固めた上で、
みんな自由でクリエイティブなかっちょ良い生き方出来たらいいよね〜!
ともかく、フリーランスの働き方に対しこんな動きが生まれてきたのは、良かった。
実は30年前にやっておくべきことだとうイメージなのだが、、
[…] 当日の様子は、ご参加いただいた小池アミイゴさんのブログをご覧ください。・フリーランスの契約課題アイデアソンhttps://yakuin-records.com/amigos/?p=15290次回9日(土)はハッカソンを開催します。エンジニアではない方でも参加できますので、ご応募お待ちしております!https://jtuc-network-support.com/minfree/ […]